狂うほどに愛されて２【オリジナルヤンデレ短編集】 (ページ18)

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救いの手③ ページ18

ある日。

私はいつも通り、教科書を盗られて困っていた。

――今から探せば間に合うかもしれない。

――けど、席を立てば他の物も盗られるかもしれない…。

――そもそも、この前みたいにゴミ捨て場に捨てられてたら、この教室の中を探しても無駄…。

どうする事も出来なくて、私はただ涙を堪えて俯いた。

泣いてしまったら、クラスメイトをまた喜ばせるだけだから…。

そんな時。

俯いていた私の視界を何かが遮った。

誰かが教科書を差し伸べてくれたのだ。

…そう、それがA。

私が困っているのを見て、他のクラスのお友達にわざわざ借りに行ってくれたらしい。

その時のAは、神様以外の何にも見えなかった。

私は今でも忘れていない。

それが始まりで、Aは私を何かと助けてくれるようになり、私達の距離は自然と縮まった。

本当はもっと早く助けてあげたかった、とAは言っていたけれど、私には救いの手を差し伸べてくれただけでも十分過ぎる。

Aには感謝してもしきれない。

それに…Aと仲良くなってから、笑っている時間が増えたような気がする。

そのおかげもあってか、嫌がらせは次第に減っていった。

これでもっとAと過ごす時間が楽しくなる…そう思っていたのに。