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206話 ページ13

Aは蛮骨たちを見送った後、もう一度洞窟に向かっていた。


相変わらず洞窟の中は妖怪だらけだった。


「白霊山を守ってる結界は、何でこの洞窟にはないんだろう」


顎に手を置き、柵に背を預け、考えた。


この洞窟は、まさに奈落の隠れ蓑に最適だというわけだ。


(私だけでも奈落の居場所分かってるし、倒せそうな気もするけど……。この姿じゃなー)


チラ、と下にいる奈落を見やり、ため息を吐く。


ずっとここにいても奈落にみられてそうで別の意味で落ち着かないので、Aはまた歩き出した。


その時。


「ん?」


首に巻き付いてきたのは奈落の触手。


Aがそれに気づいたのは少し経ってからだった。


必死に外そうとするが取れず、爪がない為引っ掻くこともできない。


「くそっ……!?」


突如、体が宙に浮く感覚がした。


今まで自分が立っていたはずの床が見える。


そして、気が付いたら落ちていた。


「まじかようわああああ!」


底にたどり着くまで結構な時間を要した。


急いで上を見上げるが闇に囲まれており何も見えない。


「クソッタレ奈落。いい度胸してるじゃねーか殺す!」


「まあそう睨むな。美人が台無しだぞ」


「吐きそう」


声だけが響き渡り、奈落に囲まれている気すらしてきたAは、身震いした。


辺りを見回すが、何も見えない。


Aは焦り始めていた。


「おいクソ奈落。とっととこっから出せ。ぶっ殺すぞ」


「そんなに怖い顔をするな。美人が台無しだぞ」


「さっき聞いたわこのクソッタレ」


キッと奈落を睨みつけると、どこからともなく現れた触手に顎を掬われた。


「ッ!」


顔を上げた先には、奈落の顔が。


いや、正しくは人見蔭刀の顔が。


「ちょっと、その顔こっち持ってくんな。あーもー中身史上最低最悪男のくせに顔だけ男前とかマジでないわ。その顔を蔭刀様に返しなさいっ」


「褒めてるのか貶してるのか……」


「蔭刀は褒めてる。お前は貶してる」


「わしの顔が男前だと!?」


「お前じゃねえわボケッ!」


Aでさえ、本当の奈落の顔を知らない。


奈落の顔は、蔭刀の体を乗っ取ってからでしか知らないのだ。


Aは少しだけ、縁あって人見蔭刀とは顔見知りなのだ。

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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか? (2017年8月14日 9時) (レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2017年8月8日 20時

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