204話 ページ11
その頃、周りの人間たちはというと。
「何で大兄貴とAは2人の世界に入ってんだ？」
「俺に聞くな」
「ぎしし」
(すごくどうでもいい……)
(帰りたい……)
最早完全に空気である。
最初は嬉しくなさそうにしていたものの、Aの表情も少しずつ柔らかいものに変わっていった。
……のも、ほんの少しだった。
「なあ、このまま2人でどっかいこーぜ」
「うん。仕事全部終わらせてからね」
「お前は俺に会ってもちっとも嬉しそうじゃねーな！」
「喜んじゃったら、今度はお前らを殺せなくなるだろ」
「俺はすげえ嬉しいのによ、Aは嬉しくねえのかよ」
「人の話を聞け！」
「人じゃねえだろ！」
「今は人だわ！」
言い合いをしている蛮骨とAをずっと見ていた蛇骨たち。
空気同然。つーか目に入ってもいないようだ。
「夫婦喧嘩は犬も食わぬ、か？」
「そもそも夫婦じゃないだろう」
「なー大兄貴ー！ いつ行くんだよ。俺は早く犬夜叉に会いてえんだけど！」
「うるせー。この話の決着がついてからだ。あと、お前は殺生丸って奴のところに行け！」
「は！？」
「不服か？ おめえ、色男すきだろ」
「俺は犬夜叉がいいって何度も言ってるのにー！」
目尻に涙を溜めた蛇骨が悲痛な声で叫ぶと、蛮骨が鼻で笑う。
「諦めな。どうせお前の片思いだろ」
(何だ。この茶番は)
今この瞬間、煉骨とAの息がぴったり合った瞬間である。
「なーA、無事帰って来られたら、2人で……っていねえ！？」
蛮骨が蛇骨と会話をしているその一瞬の隙に、Aは煉骨の元へ逃げていた。
「おい、お前でっかいんだから私の事隠せるだろ」
「無茶いうな馬鹿者」
「俺から逃げるなんて100年早いぜ」
音の速さの如く煉骨の傍に来たAを超える、光の速さの如くAの傍に来た蛮骨。
Aはひどく驚きながらも、蛮骨に言い返す。
「やかましいわ。享年17歳のガキ」
「あぁ！？ お前だって見た目変わんねえだろ！」
「私は人間換算で17歳だからいいんだよ！」
「同い年じゃねーか！」
「お前が喋るとまとまる話もまとまらん！」
(俺の近くで喧嘩をするな)
(ねえこれいつになったら終わるんだよ)
本来ならばとっとと進んでいく話だが、Aと蛮骨の夫婦喧嘩のせいで大分遅れを取っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
