人生そう上手くいかないってな２【ワールドトリガー】【文スト】 (ページ22)

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島崎は少しの温もり感じ、目を覚ました。

『……ぁれ、医務室、じゃない、？』

「お、起きたか」

『……なんで、？』

どこか薄暗いいつものマフィアの医務室かと思えば白に統一された少し薬品の匂いがする病室だった。そして目の前には夢の中の登場人物だと思われた迅悠一の姿が。

『迅さ、ん？』

「実力派エリート迅悠一で〜す」

いつものふざけた顔で右手をおでこに付け敬礼をする迅。そんな迅をちょいちょいと近くへ呼び、誰が着けてくれたか分からない手袋越しに迅をぺたぺたと触る。

「ちょ、なになにどうした？」

『ホンモノ…。っねぇ！修は！生きてる！？』

「落ち着け落ち着け。メガネくんは無事だよ。Aが一番重症だ」

三雲が生きていると迅に聞かされ一安心する島崎だったが突然迅がガバッと頭を下げ戸惑ってしまう。

『うぇ、なんで、なに、なんなの？？？』

「すまなかった」

『ウン？』

「俺はAが1番傷を負う未来を選んでしまった。もっといい未来がいくつもあった中でメガネくんと千佳ちゃんを助けることだけを見ていた。Aだから大丈夫だって思っていたけどこんなに傷を負わせてしまって申し訳ない」

いつものふざけた雰囲気から一転、真面目な顔の迅に戸惑う島崎。別に迅が気にすることでは無い、と島崎は考えていたのだ。
自分に判断力がなかったせい、自分が弱かったせい、それだけしか思っていなかった。

『…別に迅さんが謝る必要ないよ。私がもっと強かったら怪我はしなかったし攫われた人数ももっと減らせたかもしれないから、私のせい。』

そうは言うものの迅の曇った表情は変わらない。それを見た島崎が＂それに＂と付け足した。

『未来が見えるからって、迅さんが全てを背負う必要はないんだよ。今回のことは全て迅さんに責任がある訳じゃあない。だからそんなに気に病まないでよ』

「………ありがとな」

ベッド脇にちょこんと座った迅の頭をポンと撫でてやれば少し驚くが直ぐいつもの顔で微笑み島崎の頭を撫で返した。

そんな迅は本部へ呼び出され島崎の病室を後にした。
誰もいなくなった病室でグッと伸びをしボスンとベッドへ倒れこんだ島崎。先程まで一緒だった太宰は夢の中のお話だったのか、それとも先程の迅が夢の中のお話なのかは分からない。ただこの腹の傷の痛み具合からしてこちらが現実なのだろう。

『嬉しいような、寂しいような。分かんね〜』