#ぐすぐす ページ9
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結果的に言うと、私達は最後までいけなかった。
中に入るや否や先生は怖がって私と距離を詰めるし、お化けが出てきたら叫びながらぎゅっと私の腕を掴んだりもした。
私だって怖かったけど、それよりも先生との距離が近くて緊張して、おばけどころじゃなかった。
それからどうしてももう歩けないって泣きそうになりながら先生が言うから渋々リタイア。
今はお化け屋敷近くの廊下の隅に座ってる。...隣にはぐすぐす泣いてる先生。
「先生、もうそろそろ泣き止みましょ?」
「うっ...だって...っ」
「怖かったですね、ほんとに」
「A全然平気そうじゃんん...!」
壁に背中をつけ三角座りで膝に顔を埋めている先生。とても30超えた大人とは思えない姿に思わず苦笑いを浮かべる。
私は先生が泣き止むように背中を優しく撫でて言う。
「これでも怖がってましたよ?」
「嘘だぁ...」
「ほんとですって。ほら、青春の主張始まっちゃいますよ、行きましょ」
「...」
そう言えば首をぶんぶん横に振って更に身を縮める。完全に子供だ。
...でもここまで泣かれると何か申し訳なくなる。私が我儘言って先生を連れてきたわけだし。
「せんせ、ごめんなさい。無理に誘っちゃって。...でも私は、どうしても先生と一緒に行きたくて...」
それを聞いて先生はゆっくり顔を上げる。子犬のような表情を浮かべた先生の潤んだ瞳と目が合う。
「...なんで、俺なんだ?」
そう言われてハッとした。
田中先生が告白伝説を知らないわけがない。いくら鈍感な先生でもそれは分かるはずだし...好きって言ってるようなもんじゃん。
「あっ、いや!何となくです!私先に中庭行っときますね!!」
「え、ちょ、!」
何か言おうとしていた先生を無視して私は逃げるようにその場を去った。
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青龍 葵(プロフ) - まるる。さん» 態々、お知らせして頂き有難う御座います。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 2dfc35dd30 (このIDを非表示/違反報告)
まるる。(プロフ) - 青龍 葵さん» 移行先は明日投稿してこちらでお知らせするので、もう少し待っててください(>_<) (2019年7月6日 19時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 後、少しで終わっちゃうと思うと寂しいですが、続編などあればと思いながら移行先は何処にあるんでしょうか? (2019年7月6日 16時) (レス) id: 2dfc35dd30 (このIDを非表示/違反報告)
まるる。(プロフ) - ひるくさん» ありがとうございます!!結構力入れて書いたのでそう言っていただけて嬉しいです...。これからもよろしくお願いします! (2019年6月30日 16時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
ひるく(プロフ) - 最新話……最新話最高です……ありがとうございます……沢山読み返して胸キュンに浸ってます!これからも応援し続けます頑張ってください! (2019年6月30日 13時) (レス) id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年6月16日 10時