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その声を聞いて周りの人は、ほんとだ!とかかっこいい...とか声を漏らす。
え?三橋くんモテてる...??
どうやらここら辺で三橋くんと伊藤くんは人気らしく、みんなの憧れなんだとか。
それのおまけか何なのか、何故か私も人気者らしい。キャーキャー言われながら廊下を歩く。
伊藤くんはいつも通りだけど、明らかに調子に乗っている三橋くんは何度も振り返ったり、変なダンスを踊ったり...ちょっと褒められただけですーぐこれなんだから、と呆れていると、伊藤くんまで面白いことをするように言われていた。
もちろん真面目な伊藤くんに面白いことが出来るはずもなく、そんな伊藤くんを三橋くんがゲラゲラ笑ってからかう。さすがに可哀想...。
「ほら、行くぞA!」
「あっ、ちょっと...」
ボーッとしていた私を見かねて三橋くんはぐいっと手を引き気の抜けたようにフラフラ歩く伊藤くんの後を追う。
後ろから、あの人三橋先輩の彼女なのかな?なんて声が聞こえてきた。
そうだよ、私三橋くんの彼女じゃん。それなのに彼女の前でへらへらしてる三橋くん。...ほんとにムカつく。
そんな私の気持ちもつゆ知らず、屋上に着けば三橋くんは俺の時代がきた、なんて大きな声で言って喜んでいる。
気がついたら理子ちゃんも来てて、三橋くんに1年の前では喧嘩しないようにと言い聞かせていた。
...ほんと、馬鹿みたい。1年に好かれるのがそんなに嬉しいんだ。なんて、嫉妬心を胸に秘めて三橋くんをじっと見詰める。
「...はぁ...」
隣から聞こえたため息。その方を見ると伊藤くんが分かりやすく凹んでた。さっきつまんないって言われたの、相当きてるな...。
三橋くんはそんな伊藤くんをまた笑ってどこかへ行ってしまった。理子ちゃんは1度こちらを見てから三橋くんを追いかける。私は2人の背中を見送ってから伊藤くんに声をかけた。
「伊藤くん、京ちゃんね、言ってたよ。伊藤さんは周りから見たら普通の人なのかもしれないけど、私は真面目で優しいところが大好きなんだ、って」
「え、ほんとに!!?てかAちゃんと京ちゃんいつ仲良くなったの...?」
「前に京ちゃんから声掛けてくれてさ、一緒にサ店行くぐらいに仲良くなっちゃった」
そう言ってにこりと笑い、だから安心して、京ちゃんが伊藤くんの事つまんないとか思ってるわけないから、と言って背中を叩き屋上を後にした。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時