やだ ページ31
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｢え……?｣
思わず声を漏らす。
気付いたらキヨに抱き締められていた。
いやいや何この恋愛漫画的展開。
｢き、キヨ?どーしたの?｣
｢…｣
ぽんぽん頭を撫でてあげるけど、キヨは何も言わない。
やっぱり変だ。
｢具合悪い?何か嫌な事でもあった?｣
｢…Aが、｣
｢Aが、フジと抱き合ってんのが嫌だった｣
抱き合ってる??
一方的に抱き締められてただけなんだけど…。
｢何それ、フジが酔っ払ったら抱き着いてくるのとかいつものことでしょ｣
笑いながらそう言うものの、キヨは一向に離れようとしない。
｢…それでもやだ｣
やだって子供か。
そんなキヨを宥めるように頭を撫でる。
｢はいはい、分かったから。1回離れよ?ね?｣
｢…｣
そう言えばキヨは渋々という感じで離れてくれた。
顔は不満そうだけど。
｢もー、そんな顔しないの。｣
｢…だって、俺よりフジと仲良さそうだったから。俺の方が先にAと出会ったのに｣
｢何それ、可愛い｣
｢可愛くねぇし、こっちは真剣なんだけど｣
可愛い、と言えば表情が曇る。
でも普通に考えて可愛いよねこれ。
｢ごめんごめん、これからはちゃんとキヨにも構ってあげるから｣
｢…ほんと?｣
｢ほんとほんと。今度ラジオ一緒にやろっか｣
｢!!、やる!｣
一気に表情が明るくなる。単純な奴め。
キヨの頭を数回撫でて私はソファーに寝転んだ。
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作者名：まるる。 | 作成日時：2018年7月31日 15時
