9周年(番外編) ページ16
話のキリは悪いものの書きたかったので書きます…
.
夕方頃、薄暗い道をひとりで歩く。
やっぱ夜は冷え込むな、もうちょい厚着したら良かった。
なんて思いながら足を早めて目的地に急ぐ。
…喜んでくれるといいけど。要らないって言われたら持って帰ろ。
片手に持った白い箱。それをなるべく揺らさないように気をつけていると、あっという間に着いた。
いつもなら連打するインターホンを今日は1回だけ押す。
暫くしてはぁーい、という緩い声と共にドアが開いた。
｢…え、A!?｣
｢やっほ、フジ｣
目を丸くするフジに空いている手を軽く上げて挨拶する。
｢え、動画撮る約束とかしてたっけ…?｣
｢んや、してない。まぁいいじゃん、お邪魔しまーす｣
｢あ!ちょっと!!｣
フジを押し退けて最俺ハウスに入る。
後ろからフジの情けない声が聞こえた気がするけど、そのままリビングに向かって歩く。
ドアを開けると、完全にオフモードの皆がいた。
｢…は、A!?何でいんの!?｣
｢おーこーすけ、久しぶり〜｣
｢久しぶりー…じゃなくて!｣
相変わらずキレのいいツッコミを受けながら、目を丸くした皆を無視して机の上を片付ける。
片付いたそこに白い箱を置き、皆の方を見て言う。
｢さぁ、今日は何の日でしょう!｣
｢今日…?誰かの誕生日だっけ?｣
｢あ、Aの誕生日じゃね?｣
｢何かそんな気がする｣
｢違うよ、Aの誕生日は…｣
｢全然違うよ!!今日は最俺9周年の日でしょ!?｣
それを聞いて皆は、あぁ〜、と忘れてたと言いたげな顔で頷く。
…このボケたがり集団が…。
｢…まぁ、9周年だからお祝いに買ってきてあげたの、ほらこれ｣
そう言って白い箱からそれを引っ張り出す。
｢え、ケーキ!?｣
豪華なケーキを見て目を輝かせる皆。
どうやら喜んでくれたらしい。
私はにこりと笑顔を作って言う。
｢9周年おめでとう、皆の事 大好きだよ!｣
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作者名：まるる。 | 作成日時：2018年7月31日 15時
