episode8 ページ9
、
「ふぁ…」
目が覚めるとここはどこだろう、と思うことがある。
もう吉原にきて1週間くらいたつのにまだ慣れていないのだろうか。
あれからなんとか指名数を増やし、情報収集をするものの敵の尻尾すら掴めていない。
やり方が間違っているのだろうか、もっといい方法はないかと考えてみるも思いつかず1日が終わってしまう。
「はぁ、今日はどうしようかな」
ぐっと伸びをして立ち上がる。
なんとかして団長が迎えに来る前に解決させなきゃ。
「A、指名が入ったよ」
「はーい」
今日は誰が指名してくれたんだろう。
今回こそ、有力な情報を得られるように頑張ろう。
「指名ありがとうございます。Aでございます」
私は必ず部屋に入る時に地べたに座りお辞儀をする。
誰だろう、と思いながら顔を上げると、
そこには、土方くんがいた。
「…っえ、なんでここにいるの」
反射でそんなことを聞いてしまった。
はっと我に返って部屋の襖を閉じる。
土方くんはタバコを吸っていてそれがやけに色っぽい。
隊服は来ておらず、着流しを着ていて窓の外を眺めている。
吉原のネオンの光で顔が照らされ、キラキラして見えて、ついついイケメンだなって思っちゃう。
「おう、久しぶりだな」
ゆっくりとこちらを見てふっと微笑む。
「うん、久しぶりだね。ここに来てくれるとは思わなかったよ」
改めて土方くんの近くに腰を下ろし、身なりを整える。
「少し、気になってな」
「ふぅ〜ん、てっきりここの常連さんかと思ったよ〜。結構通ってたりして」
おちょこにお酒を注ぐ。
「な訳あるか、ただ気になっただけだ」
「へ〜、じゃあお客さん、いっぱい飲んでってね」
「うわっ、やめろ、ばか、」
そんなに飲めるか、とおちょこをなかなか渡してくれない。
たわいもない話をしていると、ふと
「なぁ、本当は何が目的だ」
静かにそう聞かれた。
本当のことをいっていいのだろうか。
言ってもあんまり変わらないような気もするけど。
「内緒」
静かにぽつり、と言った。
土方くんは地上の人で、私は地下の人。
ほんとは交わっては行けなかったのかもしれない、と思う。
「でも、もうすぐ分かるよ」
ぱっと土方くんが顔を上げて私の顔を見る。
くっと眉間にしわを寄せながら
「どういうことだ?」
、
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とみおか(プロフ) - (。・ω・。)さん» コメントありがとうございます!!土方さんかっこいいですよね( *´艸`)読んで下さってありがとうございました! (2020年4月6日 19時) (レス) id: 61b55ba5a9 (このIDを非表示/違反報告)
(。・ω・。) - 土方さんサイコーです!!この作品は面白かった (2020年4月5日 21時) (レス) id: ab2e31f108 (このIDを非表示/違反報告)
とみおか(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて嬉しいです。読んでくださってありがとうございました! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 61b55ba5a9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - 面白かった。 (2020年2月19日 15時) (レス) id: fbe7a16596 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とみおか | 作成日時:2019年10月7日 23時