ごー。 ページ5
「おかえりー。どこ行ってたの?」
私は彼が帰ってくるなり問いかけた。
「...いつもの、場所です」
「いつもの場所って?いつもどこ行ってんの?」
矢継ぎ早に繰り出される私の質問という名の拷問に彼が明らかに臆しているのがわかる。
目は見えないけれど全体の挙動によってだ。触れられたくない素振り。触れる私を拒絶するような。
「そらるでしょ?」
「 」
彼が答えるわけないことをわかっていたので見たものを口にした。
彼は振り向いて、なぜそれを、的な顔をした。もちろん顔は見えてないけども。
「こっちこそ、なぜそこに、って感じだわ」
「......」
皮肉交じりに返すと、彼は自分を責めて黙りこくる…ようではなく単に私を可笑しなものとして受け止めているかのように沈黙している。むかつく。
「何で?いつからそらると知り合いなの?」
「あ」
「全くびっくりだよね。引きこもりの君がここんとこ出かけてると思ったらそらるといるし」
「の」
「見たところ結構打ち解けてるみたいだったけど、なに?あんたら付き合ってんの?ん?」
「ぁ、あぁのっ」
うるさいマシンガンの私を止めようと物静かな彼が細い、だが高校生男子並みにはガッシリした喉から声が絞り出される。
「...なん…でそ、らるさんのこと呼び捨てなんですか?そらるそらるって失礼...」
「だって身内だし。「え」いや反応早いな」
何にも知らないらしい彼に踏ん反り返って私は教えてあげる。
「そらる、あれ私の兄」
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作者名:いのありCONAイチゴ | 作成日時:2017年9月3日 0時