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Ren side
何事も経験だからと、部署で出た細かな案や、実際の統計や資料を軽くまとめたものをAさんへ伝える役割を先輩は俺に与えた。
それを受けてフィードバックされたものをまた部署に持ち帰って先輩達に報告して、修正する。何度か繰り返していくうちに具体的な内容になっていく。
そのプロセスは凄く勉強になった。
が、呑気に言っていられないのが締め切りという厄介なものだ。
佳境に入ったところで、先輩は別の仕事も忙しくなり社内メールでのやり取りも滞りがちになった。
「忙しいところごめん」
背後から遠慮がちな声が聞こえて振り返る。
「Aさん」
「ちょっと一緒に確認してほしいところがあって…」
そう言って、Aさんは周囲を見回した。
「あー、先輩いないんすよ。最近別件のほうも忙しくなっちゃって」
「そうなんだ。どうしようかな…」
手元に抱えている紙束にお互い目をやる。
「役に立つか分かんないすけど、とりあえず俺で良ければ聞きましょうか?」
すると途端に安堵した表情になって。
「目黒くんのそういうところ、いいよね」
「……そうっすかね?」
面と向かって言われると少し照れる。
「うん、ふふ。ありがとう。じゃあ少しだけ時間いいかな」
.
.
.
.
結局Aさんの確認したいことを全部俺が解決出来るわけもなくて。
「すみません…」
「いいのいいの!すり合わせ出来たところもあるし、また個人的に連絡してみるから」
「でももうあんま時間ないですよね…。いつも残業で企画書作ってるんですか?」
「家に持ち帰ったり、どっちもどっちかな。今日は連絡待ちするから持ち帰ると思うけど」
笑って見せるけれど、多分余裕はないんだと思う。自分がその負担を軽くすることは出来ないのが悔しい。
「目黒くんも忙しいのに急に付き合わせちゃってごめんね。また何かあったら社内メールするね。…あ、でも、それよりここに来た方が早いかな?」
とにかくありがとう、と急ぎ足で戻っていった。
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ありぃ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます!嬉しい言葉ばかりで感激しております。。。しかももう3回も読んでくださっているだなんて、感謝しても足りないくらいです。いつでもここの黒さんが癒しますので、またいつでも来てくださいね。こちらこそありがとうございました!! (2021年12月19日 1時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
るる - めちゃくちゃ好きなお話でした。描写も細やかで、すごくイメージが出来ましたし、黒さんのセリフも絶妙でした。すでに3回読み返して、噛み締めております。素敵な小説を、ありがとうございます!! (2021年12月18日 22時) (レス) @page33 id: 5db6c5f68c (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - まあさん» 初コメントいただけて感動しております…!ありがとうございます。説明文過ぎるかなぁとか、キュン要素はあるのか?とか自問自答しながら書いておりますが、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。お気遣いもありがとうございます! (2021年12月11日 16時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
まあ - 登場人物がそれぞれ魅力的で人間味があって、いつも楽しく読ませていただいています。毎日更新が楽しみでもあり、ありぃさんの負担になりませんように、と思っています。 (2021年12月11日 9時) (レス) @page27 id: c7a497417a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ありぃ | 作成日時:2021年11月24日 23時