【被虐のノエル】愛したい、愛せない【フーゴ・ドレッセル】 (ページ9)

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#6 嫌わないページ9

そんなこんなで、私の家が無くなってから、かれこれ4日。

今、私とフーゴは市長官邸にいる。あ、魔人すなわち犯罪者二人だからって不法侵入したとか思わないでね、ちゃんと正式な手続きを通して……

『……正式かどうかは怪しいわね……』

一応ここはフーゴの職場ってことになるんだろうか？限りなく怪しいが、実際彼は顔パスで警備を潜り抜けたのだから文句のつけようがない。
フーゴの隣にぴったり着いて進めば私に疑いの目が向くことはなかったし、怪しまれてもフーゴのフォローで難なく通り抜けることができた。

フーゴはどうやら人間を燃やすことに飽きた、想像以上にヤバい奴らしい。私が悪魔と契約したことがあると告げると、彼は凄い食いつきようで、手に入れた力について根掘り葉掘り訊ねてきた。
大した力は持っていない、すでにあるものを消してもらっただけ。そう伝えると、がっかりしたようにそっぽを向いてしまったが。
興味をなくしてなお、彼は私を連れて歩くことをやめなかった。タイミングを見計らって市長に私の口から説明をさせる気は無くなってないらしい。

「おい、バロウズ。例の爆破について、説明しに来てやったぞ」

彼が重厚な扉を手荒く叩くと、数秒の間を置いて、ゆっくりとドアノブが回った。
……柔和な笑顔で出迎えてくれたのは、瞳に深い闇を持った、憎き市長。

「ああ、ボマー。待ちくたびれてしまったところだ。一体今更どんな言い訳をしに来たんだ？」

まるで私などいないかのように、市長は顔を悪人の風貌に歪めてそう彼に問う。

「俺から説明はしねぇ。代わりにこいつに言わせることにしたからな」

そう言うとフーゴはわたしの肩を押して前に立たせる。
乱暴に掴まれてしまったので、少し肩が痛い。

「……参ったな。まさか君が直々に来るなんて……」

『お久しぶりね、バロウズ市長。ずっと会いたかった！』

＿＿全身全霊の愛情を込めて、私は笑顔で彼に抱きついた。