#31 愛せない ページ38
ステラステージラプラス支社爆破事件から、数日が経つ。
社長の死とこの事件を受けたステラステージは、ラプラス市から撤退した。
いろいろと問題は残るものの、殆どが市長の思う通りに事が進んだというわけだ。
廃製鉄所の一角で、私とフーゴは会話を交わす。
魔人は身体が丈夫だというのは本当だったらしく、私もフーゴもあの日の怪我は殆大体癒えていた。
ふと、彼が私の顔を覗き込む。
ニヤリと笑ったフーゴの顔が私の
「それにしてもA……あの後大悪魔と第二の契約を結び、“爆熱の魔人の力を増幅・制御する力”と“互いが承認した時だけ
クク……気に入った。お前はもう立派な__ 」
『__フーゴの半身、でしょうね』
あの事件の後、フーゴにもらったガスマスクを装着してみる。
黒を基調としたそれは、フーゴが使っていたマスクを私用に改造したもの、らしい。
サイズを調整するためか、覆われているのは鼻と口だけだ。
目を保護するガラスも入っていたが、視界の邪魔になるので左目の部分だけ取り外させてもらった。
右目は__第二の契約を結んだミツとか言う大悪魔に、フーゴと同じような緑色に変えられてしまった。
そんなことは望んでいないが、大悪魔曰く「フーゴの半身と化した象徴」らしい。
とにかく、綺麗な色が気に入っているので保護することにしている。
「そういや、考えてやったぜ、お前の魔人名。俺の半身として活動する以上、確実に必要だろ。
命知らずで、向こう見ずな行動を取ろうとするその性格。
俺の炎を強めることも抑えることもできるその力。
そして神の意思であるかのように突如吹きおろす不幸__
“神風のA”。どうだ?」
『……母の故郷、日本に吹くという風ね。__すごく、気に入ったわ』
彼が死ねば、私も死ぬ。彼が不幸になれば、私も不幸になる。
そんな代償をも背負った私からすれば、もう__
彼を愛することは、自身の破滅を意味するのだ。
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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時