【被虐のノエル】愛したい、愛せない【フーゴ・ドレッセル】 (ページ32)

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#26 会えないページ32

＿＿＿ものを分解する危なーいおくすり……触れたものはたちまち腐っていくわ。

待ってフーゴ。この薬は。

＿＿＿分解のおくすりを調剤している時だったわ。加熱装置が止まらずに、水薬のそれは全て蒸発したの。

私は、やっぱりフーゴを愛してちゃいけない。

＿＿＿気体へと状態変化したそのおくすりは、吸い込めば内臓に障害が生まれ、呼吸困難に陥る。

だって、今あなたが蒸発させたこの薬は。

＿＿＿長時間体内に取り込み続ければ、最悪死に至る毒ガスだったの。

『フーゴ、空気を吸っちゃダメ……！！』

声の限り叫んだ。
視界一面が炎に包まれる。離れた場所で燃えているので私に被害はないが、彼の姿は捉えることができない。

『聞こえる！？息を止めて！空気を吸わないようにして！』

彼からの返答はない。いや、無くていい。
ガスマスクをつけていない彼がこの気体を吸ってしまえば、無事ではいられないだろうから。

叫び続けるうちに、大分息を吸い込んでしまった。
咳き込む。喉が痛い。
息が吸えない、辛い、苦しい。
苦しい。呼吸が荒くなっていく。

…ごめん。

咳が止まらない。逃げたいのに、腕も足も動かない。
もう無理かもしれない。
フーゴは、無事だろうか。

＿＿私は、目を閉じる。

「＿＿A！」