【第8話】想定外の言葉 ページ13
Aside
恭しい仕草でお辞儀をし、名を名乗った彼女は、貴方たちは? とにこやかに私たちを見る。
『あ……私は、Aといいます! その、この度は助けて頂いて、ありがとうございます……!』
きっと来てくれるだろうと期待していた分、今更ながら、どこか後ろめたさも感じてしまい、私はその気持ちも併せて彼女に深く頭を下げる。
続けて、エドも口を開いた。
「……オレは、エドワード・エルリック。オレからも、助けてくれたこと、感謝する」
私たちがお互いに名とお礼を言い終えると、彼女はゆっくりと首を振った。
「ふふ、気にしないで頂戴。普段、私はニンゲンが落ちて来ないか、毎日ここを見回っているのだけれど……間に合って良かったわ。貴方たちが無事で本当に……」
胸を撫で下ろした彼女の声音は、本当に暖かいもので、心から私たちのことを思ってくれているのだと伝わってくる。
私の胸に、じわりと暖かいものが広がる。
彼女の物腰柔らかな雰囲気に解かれたように、エドも緊張の面持ちを和らげて、そっと私に耳打ちしてきた。
「(どうやら、本当にオレたちの味方をしてくれてる……ってことなんだよな?)」
『(はい、そうです)』
「(そっか。よし……信じるからな)」
頷き合っていると、ふいにトリエルさんは、ふふ、と笑った。
「貴方たち、仲が良いのね? さっきからずっと、内緒のお話をしてるから……」
『えっ、あ、その……!』
彼女がいきなりそんなことを言うものだから、私は心臓を跳ねさせてしまう。
彼女にはそういう風に見えるのか。
内緒話というのはあながち間違っていないけれど、私たちはただ、ことを進める為に、言うなれば打ち合わせをしていたようなもので……
それに、彼とは実質、今日が初対面で、仲が良いと認めるなんて恐れ多い。
そう。私だけならともかく、彼までこの世界に迷い込んでしまったこの状況で、浮かれる場合じゃないのだ。
それなのに……
「あらあら、顔を熱くして……照れてるのかしら。ふふ、可愛いわね」
『そ、そうではなくてですね……っ』
トリエルさんは、そんな私の心を知る由もなく、そんな追い打ちを掛けてくる。
お願い、エドも何か言って……
そんな懇願を込めた目で彼を振り返れば、彼は溜息をついて口を開く。
「ああ、認めるよ。でも、あんまりからかって、こいつを困らせるのはやめてやってくれ」
……ん?
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アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時