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スイーツを食べ終わり、満腹の私達は取り敢えず近くの公園を散歩することにした。
6月と言っても、晴れると蒸し暑い。木陰になっている道をゆっくりと歩く。
ミンギュが私の長袖シャツの袖を持った。
「暑くない？それ」
今までと違う、優しい声のトーンに少し視線を泳がせたけれど、「まあ、暑い」と返してシャツを脱いだ。
「貸して、持つから」
「別にこれぐらい大丈夫…」
「はいはい」
あっさりと奪われてしまった私の緑色のシャツ。何事も無かったかのように歩きだしたミンギュの隣を、ただ着いていく。
ミンギュは新緑を見上げたり、ピクニックしている家族を見つめて微笑んだり、静かにこの時間を楽しんでいるようだった。
こんなにゆっくりと流れる時間は久しぶりで、心が落ち着く。
これからは、ひとりでいいかもしれないと考えていた。
誰かと居て、傷付いたり傷付けたりするぐらいなら、それを怖がるぐらいなら、ひとりでいい。
…閉じこもっているといつの間にか部屋に空気が篭もる。その空気を逃がすために、心の窓は必要なのかもしれない。
きっとミンギュは、その窓が多い人だ。だから、いつも新鮮で暖かい空気が入り込んでくる。
整った横顔を見上げていると、ミンギュが目を細めた。耐えきれなかったようににやけてこちらを見てくる。
「そんなに俺の顔見る？」
バレてたんだ。気付いてないと思ったのに。
「見るよ。綺麗過ぎて何回でも見ちゃう」
本心で、ミンギュの顔が近くにあれば大体誰でも見ると思う。実際今通った女子高生がミンギュの顔を2度見している。
本人はぽかんとした後に、へへっと気の抜けた笑いをした。
「Aに言われるとちょっと照れるな」
「別に照れなくていいよ」
「なんで！」
彼の左手がこちらに伸びてくる。初めて彼と帰った日、桜の花びらを取ってくれたのを思い出した。
でも、その手のひらは私の前髪を梳いた。
「…綺麗」
優しく髪の毛が崩れないように触れて、私の目を見て伝えてくる。
「初めて会った時から、綺麗だし可愛いと思ってた」
ふふっと微笑むミンギュに戸惑う。そう、彼は私の1つしかない心の窓をいつも開けてくる。
「ほら、照れるでしょ？」
私の顔を見てそう言ってきたミンギュに、黙って頷くと彼はまたくしゃりと笑った。
「…待った、照れさせるために言ったんじゃないから！Aは本当に綺麗だよ」
そんな必死に言わなくても。
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
