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伊野尾さんとカウンターを挟んで向かい合うように座っている山田。
山田が何か喋ってそれに対して小さく笑いながらも時々頬を赤らめる伊野尾さん。
会話の内容までは聞こえてこないが楽しそうに話す2人の間に流れる雰囲気はとても良い。
2人だけの店内に邪魔を入れるものは誰一人としていない。
それはまるで
.
____2人だけの世界の様だ。
そう思った瞬間、自分の中でガラガラと何かが崩れていくのを感じた。
ああ、そういうことか、と。
「はは....」
乾いた声が漏れる。
この2人、とってもお似合いじゃないか。
山田と自分を比べることを止めたといっても、伊野尾さんの恋の相手が山田ではもう降参だ。
そもそも自分が入る隙間なんて最初から無かったんだ。
伊野尾さんと俺はただのバーのオーナーと客の関係。それ以上でもそれ以下でもない。
ただ俺が伊野尾さんに話を聞いてもらって慰めてもらって、その優しさに勘違いしてしまったのだ。
今日現場でもらったお菓子を一緒に食べたいと意気揚々に浮かれて持ってきたのがバカみたいに感じる。
さっきまでこの夜空を見て綺麗だと思っていたのに、今は煌々と輝く星が自分を嘲笑っているように思え、さっきまでの自分が酷く痛々しくて苦しい。
ああ、ダメだ。今日はもう帰ろう。
そしてその日、俺は店に足を踏み入れることなく家路に着いた。
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トコロテン(プロフ) - コメントありがとうございます。これからも大好きな作品だと思ってもらえるように自分なりに頑張ろうと思います。 (2021年4月11日 10時) (レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
涼芽 - この作品が大好きで、いつも学校終わりに楽しみにしてます! (2021年4月9日 22時) (レス) id: a4663d5dbf (このIDを非表示/違反報告)
トコロテン(プロフ) - 感想ありがとうございます。そう言ってもらえると自信に繋がります。ただ、このお話読んでくださってる方のほとんどだと思いますが、私も現在、また心が病み気味なのでしばらくは更新しないかもしれません。ゆったりお付き合いください。 (2021年4月7日 11時) (レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - はじめまして。トコロテンさんが書く作品、大好きで話が更新されると嬉しいです! 何度も読み返しています。これからも無理せず続きを書いてくれたら嬉しいです。楽しみに待ってますね。 (2021年4月7日 7時) (レス) id: 5307737ff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トコロテン | 作成日時:2020年6月8日 14時