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俺は胸の中に閉じ込めた朱センパイに告った。センパイは多分気の利いた言い回しの言葉なんてわかんないだろうからストレートに。
するとセンパイは顔を紅くした。どうやら伝わったらしい。本当に可愛い人。駆け引きなんて出来なくて感情を隠すことも出来ない不器用な人。そんなセンパイに惚れたんだ。
なのにセンパイはまた卑下するような言葉を吐いた。まるで自分に言い聞かせてるみたいな言い方だったから合いの手を入れて否定してやった。
どんどん小さくなる声、長くなる言葉。焦れったくてツラツラと言葉を連ねるセンパイにキスをした。
…………本当はセンパイの答えを聞いてからあらためて!って思ってたんすけど、中々上手くいかないっすね。もう我慢なんてできないから。
そして現在に至る。センパイを抱きしめて答えを聞かせて、といった。またらしくない言葉を並べるのか、言葉を濁すのか、まあどちらにしても俺は引く気、ない______「……苦しい」……………え。
ぐい、と胸を押された。僅かに空いた隙間に朱センパイはがば、と顔を上げた。ハァハァと息を吐いている。
「窒息、するかと思った。………強く抱き締めすぎなんだよアンタは」
「す、すみませんっす………?」
「大体。指輪ってなんだよ。私はボクサーだぞ。指輪なんて嵌められるか。チェーンないのか」
「ないっすね………」
「はあ………………じゃあ買いに行こう。出店がこれだけあるんだ、あるだろ。ほら、花火で人が疎らだ。今のうちに行こう。そんで桜たちのところ行くぞ」
「ちょちょちょちょちょ」
「………?なんだ?」
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作者名:O | 作成日時:2021年10月29日 21時