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#172 ページ28






「板垣先輩、黄瀬になにしたの」


「なにも………ってか、僕が被害者なんだけどな」


「黄瀬は、こんなふうに何も無いのに怒らないよ。………なにをしたの」



「………センパイ、いいっすよ。ただ巫山戯てただけなんで!ね、板垣くん!」


「…………うん、そうだよ。巫山戯てただけ」


「…………………練習中だ、あんまり巫山戯るな」




「はーい。じゃ、僕は次朱ちゃんが鍛えてた子の相手するよ」


「ああ。存分に鍛えてやってくれ」


「ふふふん、よしきた!つってね!」



そんな軽口を叩きながら板垣くんは行ってしまった。




"朱ちゃんと時間も練習も共にしてる"

"………テメェにゃあの女の抱えてるモン受け止めらんねえ"



ズキン、…………と胸が痛くなった。それと同時に義兄さんに同じことを言われたのを思い出す。なぜ?いやそれよりも。


朱センパイとはいつも一緒にいるけど練習はいつも別々。けれども彼らはいつも一緒なのだ。羨ましい。けれど俺はバスケをしたい。じゃあ…………………




「………センパイ」


「なんだ?痛いところでも、あるか」


「ううん、そうじゃなくて…………俺のわがまま、聞いてもらっていいすか?」


「我儘…………?」




「………__俺を、ボクシングジムに連れて行ってください」



「…………!」




俺は拳を握りながら、先輩を見つめた。
センパイは今日一、驚いた顔をしていた。







挑戦


(黄瀬が真剣な顔してる、この顔に弱いんだ)


(バスケはやめない。けど、センパイのことも諦めないから)

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設定タグ:黒子のバスケ , はじめの一歩 , 黄瀬涼太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:O | 作成日時:2021年10月29日 21時

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