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【「で、あるからしてー…………」】
はい、恒例の始業式、校長の長い話の最中です。夏休みが終わったのはいいけど始業式って本当に必要?…………あ、でも、悪いことばかりじゃないかも。
俺はそんなことを思いながら3年の方を見る。遠目だけど目立つ銀髪を探すのは苦労しない。ほら、見つけた。
俺の視線の先には___朱センパイ。朱センパイは隣の男子に寄りかかりながら寝てた。…………って、またあの人寝てるし。大体男子に寄り掛かるってなんだよ。お前もお前で朱センパイの肩を抱くな笠松センパイじゃないけどシバくぞ。
黄瀬は心の中で毒づいた。当然だ。
……………花火大会の日、朱センパイの誕生日のその日に俺は晴れてセンパイと付き合うことになった。とは言っても特別なことは何もしてない。
デートすらしてない。そりゃ、誘おうとしたさ。つーか誘った。けどセンパイは"練習で忙しいから無理"といつものあの固い口調で言ったのだ。現に既に習慣化した夜の通話以外はLINEの返信すらこない始末。
というか付き合ったは付き合ったけど日常は変わらない。付き合う前から俺はセンパイに付き纏ってたし、センパイはセンパイで相変わらず無愛想だし。
…………………あれ?俺ら付き合ってるんだよね?
なんだか不安になってきた。普通付き合ったらこう、甘い雰囲気になったりするもんじゃない?つーか今までそうだったし。そもそもセンパイは俺を好きだと本当に言ってくれたっけ?
うっわ、自信無くなってきた………センパイ何考えてるのか全くわからないし………うう、早くセンパイと話したいな………
そんなことを考えてるうちに校長の長ったらしい話は終わって、始業式は閉式したのだった。
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作者名:O | 作成日時:2021年10月29日 21時