Call My Name ！ Ⅱ (ページ21)

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　＊

「あ、そうだ」

　自販機に向かって歩いてると黄瀬がふと口を開いた。にこにこした笑顔。

「センパイ、俺の試合見に来てくれてありがとうございます！」

「………別に、仕事をしに行っただけだ」

「それでも嬉しかったっす！気合いはいりましたもん！」

「単純か。………それよりも、今のところバスケ部負け無しだな。おめでとう」

「へへへ～、まあ当然っすよ。俺、スポーツ全般は得意なんで」

「そうだとしてもすごいだろ。さっきの笠松へのトス、綺麗だった。少ししか見てないけど見蕩れた」

　言葉が珍しくスラスラでた。本当のことだからだろう。そう言うと黄瀬は少し驚いてから笑った。

「………ふふふ、センパイに褒められたの久しぶりっす！やっぱり嬉しいっすね」

　どくん、また胸がなった。そして思った。
　＿＿＿＿あ、この顔、バスケが好きと言った時と、同じ顔だ。なんだ、この胸の温かさ。

　わかんないけど＿＿この顔を、見ていたい。

「………てやる」

「へ？」

「……………応援、してやる」

「！」

　精一杯の言葉がこれだった。
　我ながら上から目線だな、と言ってから思う。いつもみたいに言葉を考えて言ってないから…だと信じたい。でも黄瀬は気を悪くしたのではないか？あの笑顔を曇らせてしまったのではないか？

　そう思いちら、と黄瀬を見上げた。黄瀬は＿＿＿笑ってなかった。それどころか顔を手で覆っている。

「……………センパイ、ずるいっす」

「？ずるい？」

「…………決めたっす。

　センパイにお願いがあります」

　黄瀬はそう言って私と対峙した。ほんのり赤い黄瀬の顔。けれどそんなの構わないと言わんばかりに私を見つめて言った。

「午後のバレーとセンパイも出るリレー、俺が1位とれたら、デートしてくれませんか」
　