Call My Name ！ Ⅱ (ページ13)

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「ねえねえ、朱ちゃん！見て見てっ！じゃーん！」

　桜がそう言って自分の服を引っ張りながら私に話しかけてきた。男子バスケ部のユニフォーム＿＿正確には笠松の＿＿である。

「はいはい、似合ってる似合ってる。」

「朱ちゃんテキトー！笠松くんのユニフォームだよ！？テンション上がるでしょ！？あ～、これで自慰したら絶対気持ちいい…………！」

「やめろ桜。流石に気持ち悪い」

　そう言う絢ちゃんも男子バスケ部のユニフォームだ。こちらは森山の。

　とうとうやってきた、球技大会。
　この球技大会でのユニフォームは部活をしている人間から借りる風習である。

　なんともおかしな風習だが、女子は大喜びだ。なんでも、好きな人のユニフォームが着れるからだとかなんだとか。私にはよくわからないし関係ない。

「朱は本当に学ラン似合うな」

「重い、臭い、暑い」

「あはは、朱ちゃんはどんな格好をしても安定だね」

　そうなのだ。私は今学ランを着ている。応援団長は学ラン。これがまたブカブカだし、埃臭いし、何より厚手。なんでも私が着る前は男が着ていたらしい。

　だからサイズが合わなくて。ズルズルとこれを引き摺りながら一日を過ごすと思うと気が重い。そんな私に桜が言う。

「あ、そうだ。朱ちゃん、ハチマキ巻いてあげる。髪もセットしなきゃね」

「いいよ、自分でやる」

「いーから！！！早くここ座って！」

「……………」

　私は言われるがまま、席に座って桜に髪を弄られたのだった。