なんかカオスな短編集!!【ヘタリア】

37.残された時間【プロイセン】 ページ37

『だとしたら…どうなるの…？』

ギル「…俺は…」

『消えちゃうの…？本当に…？』

ギル「……もう…時間がねぇんだ…」

『…いったいいつから…感じてたの？』

ギル「もう…何年も前から…お前と出会う前から…最近はもっとひどくなっちまって…」

『そんな…』

ギル「はじめはもう消えるのならいっそのこと手っ取り早く死にたかった…なにも悔いなんてなかった…」

ギル「でも…お前に出会ってから…生きたいと思った…もう少し…少しでいいから側にいたいと思いだした…」


そう言葉を吐く彼の声は震えていた

ギル「でも…そんなのはただの自己満足にすぎねぇ…残されたお前はどうなる…?なんの前触れもなく俺が急に消えたらお前はどうする?」

『そんなの…』


探し続けるにきまっている

何年、何十年経とうが



ギルを想い続ける



あぁ…そうか…


だから…急に別れようだなんて…



『ギル…』


ギル「…頼む…俺の事は忘れてくれ…きっと俺は明日…いなくなる」

『………』


震える声にこっちまで唇が震える


私は思わず抱き締めた


いつから流れていたのかわからない溢れる涙を隠すように、ギルの胸に顔を押し付け、声をころす


いやだ…

いやだ…


こんなの…


こぼれ落ちる涙と共に今でのギルとの思い出が頭をよぎる


そっとギルが抱きしめてくれる

…最後まで…こんな…


優しくしないでよ…



『…ここからだと、私の家の方がちかいから…』

ギル「…A」

『寒いでしょ?止まっていきなよ』

いつものノリで、強がって笑顔をつくる

これが、いつもの“こと”の誘いだった






『…あっ…ギル』

ギル「…A…!!」

お互い最後の夜に涙でぐちゃぐちゃになって、求めあって、抱きあって、満たしあった

何度も、何度も

それでも、私の心には大きな穴ができたままだった



そのあと、ヘトヘトになった二人は眠りについた


私は、珍しく夢をみた

それもまた、奇妙な夢を

小さな洞窟で、ゆらゆらと焚き火が揺れる

目の前には白と黒の軍服らしきものを着た愛しい人がいた


私は、この光景を知っていた

なぜかはわからない


「やっと、見つけた」



愛しい人の声が聞こえた


そして、うっすらと目を開けると朝が来ていた



隣には、誰もいなかった

38.初詣【イタリア】*甘々→←36.残された時間【プロイセン】

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