#2 ページ8
前まで何も飾られていなかった私の手に貼られたそれを見て、いい加減不思議に思ったみたい。
熱い紅茶の入ったカップを持つ傷ついた手。おそろいの濁った指輪が鈍く光る。
『同じ場所を怪我するなんて可怪しいよ』
「そうね。そんな偶然あるわけないもの」
『じゃあどうして怪我してるの？』
不思議そうな顔をする。どんな感情なんだろう。私をどう思ってるんだろう。こんな時にまで共有を求めて、だから口は正直になる。
「わざとよ」
私を見る目が変わった気がする。先程まで向けられていた不安と同情が混ざった目は、信じられないと大きく見開かれて恐怖心が垣間見える。
「Aちゃんは大好きな友達だもの。手にある絆創膏全部、わざとなの」
『…ぅ、うそ、へ、変だよ、そんなの。友達だからって、そんな、何をしているの』
「変なんかじゃないわ。見て。おんなじところに絆創膏。指輪みたいで素敵でしょ」
両手を開いて見せてみれば、震えている。指輪、Aちゃんは嫌かしら？
震えが止まらないせいで、彼女は手に持ったカップを落としてしまった。ガシャンと破片が飛び散って、湯気が立ったあの紅茶は、彼女にかかってしまう。
『ぁっつ……！』
「大丈夫！？今タオル持ってくるわ！」
熱そう。痛そう。心配で心配で、だから拭くものを持ってこようと思ったのだけれど。
…………熱い？
………………………………どれくらい？
思った時には自分のカップを手に持っていて。
それを逆さまに頭から被った。
『何してるの！？』
熱湯を浴びた部分は一瞬火傷したような痛みが走って、次には液体に濡れたことで寒気がする。熱さと寒さが同時に襲い、体の体温が可笑しくなってしまいそう。
『なんでそんなことするの！？』
心配して駆け寄ってきてくれたAちゃんはハンカチで私の顔を拭う。
「こんなに熱いのね」
『やめて、やめてよ、こんなことしないで』
目から涙を溢れさせながらも私の心配をやめない、人間の女の子。大好きな友達。その友達は、泣いている。
「悲しい時は一緒に悲しんで、笑いたい時は一緒に笑って、傷ついたら私も傷つきたいの。
私なら大丈夫。この身体ならすぐ直るから。だからいいでしょ？Aちゃんとのおそろい」
心までは叶わないけどね。あなたが私を怖がっても、私はあなたが大好きだもの。
私の目にも涙を飾る。だってあなたが泣いているから。
これでまた、おそろいね。
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夏(プロフ) - チョコさん» うわああ！！こんな、本当に読む人を選抜するような解読困難のものを好きだと言ってくださりめちゃめちゃに嬉しいです……！🥹🥹本当にこれはちょっと載せていいか悩みましたが、よかったです。読んでくださりありがとうございます😭✨ (2月15日 0時) (
レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - 以太利の夢のお話すごく好きです😭まず世界観が沼…欲望に漬け込んで、悪魔の囁きみたいな感じだけど善意(罪悪感あり)が胸にぎゅんとくる…😭小説で頭がふわふわする感じ、唯一無二で大好きです💕夏さんの解説楽しみです！応援してます！！ (2月15日 0時) (レス) @page16 id: 99327877d7 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - 箸レーゼさん» あれでもないこれでもないと試行錯誤を繰り返す内にこんなに待たせてしまって大変申し訳ありませんでした……そしてありがとうございます。態々お礼を頂いてテンションが可笑しくなるほど嬉しい気持ちでいっぱいです。リクエストありがとうございました😌✨ (12月3日 21時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
箸レーゼ(プロフ) - アッ………あばばば……………語彙力が宇宙の彼方に……… さすがにこれがこれは良すぎます😭感謝伝えるなっていうほうが無茶です…伝えさせてください…ありがとうございましたあああああ…！！！ (12月3日 20時) (レス) @page10 id: 6c5dc33c86 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - ぽてちさん» なんて嬉しすぎる言葉、思わずニッコニコしてしまっていました🥰🥰✨香くんのは「これでいいのだろうか…」とめっちゃ悩んだのでそう言ってもらえて安心感が半端じゃないです、本当にありがとうございます😭😭モチベ上がりました💪 (12月3日 20時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏 | 作成日時：2023年11月19日 4時
