Episode28 作戦、バレる ページ30
「なあ。また明日……来てくれるか？」
まさかそんなことを言われるとは思わず、私はびっくりしてアーサーを見つめ返してしまった。
アーサーの瞳は、微かな期待と不安で揺れているように見えた。
どうしてそんな目をしているの？
それじゃまるで_________
「……もちろん。迷惑じゃなければ」
そう言って微笑むと、彼もほっとした表情になる。
「じゃあアーサー、また明日ね。キャシーさん、失礼します」
「ああ。また明日」
菊、アル、フランシスもアーサーに声をかけ、私の後に続いて病室を出る。
しばらく歩いたところで、追いかけてきたキャシーさんに声をかけられた。
「Aさん！」
「あれ、キャシーさん？どうしました？」
彼女は戸惑った様子で、おずおずと口を開いた。
「あの……お身体の具合はもう良いんですか？その、アーサーから重い病気って聞いていたのですが……」
「へ？」
「アーサー、Aさんのことすごく心配していました。Aさんが病気になったっていう電話を受けてからすぐ『会いに行く』って言って飛行機を予約して……」
「……えーと、私、見ての通りピンピンしておりますが……いつの間に病気に」
二人で顔を見合わせて「どういうこと？」と首を傾げていると、フランシスが奇妙な声を上げた。
「あばばば」
「ん？フランシスなんか知ってるな？」
「イエナニモ」
「菊とアルも何で目をそらしてるのかな？私の目を見てお話ししよ？ね？？」
「ヒェェッ！目が笑ってないんだぞA！」
「すみませんすみません、白状いたします！」
・
「____＿なるほど。それで私が病気だって嘘ついて……」
私とキャシーさんの目の前で三人がうなだれる。
「ご、ごめんなさい……まさか事故に遭うとは思わなくて……」
「キャシーさんも申し訳ありません。巻き込んでしまって……」
「あ、いえ、嘘でよかったです。……アーサー、本当に辛そうだったので」
「うう、良心がえぐられるんだぞ……」
しょんぼりするアルを見て、キャシーさんはクスッと笑った。
「気になっていたことが知れてよかったです。では私、病室に戻りますね。少しでも記憶を戻せるように尽力します！みなさん、また明日」
「あ、はい。また明日！」
足早にアーサーのいる病室へと帰るキャシーさんの後ろ姿を見ていたら、ちくりと胸が痛んだ。
アーサーのことを話す時の、彼女の顔。
不安が胸をかすめる。
キャシーさん、あなたもアーサーのこと……？
Episode29 愛の国の見解→←Episode27 カオス
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヘタリア」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
留佳(プロフ) - milkteaさん» ありがとうございます！喜んでっっ (2015年10月25日 19時) (
レス) id: f95be04ee3 (このIDを非表示/違反報告)
milktea - とても素敵な小説だと思います！あの〜良ければお友だちになっていただけませんか？？ (2015年10月14日 15時) (レス) id: 10936bb74d (このIDを非表示/違反報告)
留佳(プロフ) - マリニさん» ありがとうございます！！！ 全然更新せずに申し訳ないです (´･ω･`) 今月中に1話は必ず更新します！ (2015年6月5日 20時) (レス) id: f169f8f483 (このIDを非表示/違反報告)
マリニ(プロフ) - この作品ホントに大好きです！更新楽しみにしてます！ (2015年6月3日 22時) (レス) id: c551b84f25 (このIDを非表示/違反報告)
朱雀(プロフ) - 留佳さん» うまく出来たかな？(レス遅くなってごめん！) (2013年5月30日 19時) (レス) id: 1f4d45d945 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：留佳 | 作者ホームページ：
作成日時：2011年4月17日 18時
