Episode25 ヒロイン ページ27
「俺がフランシス、こっちがアル、それから菊。そんで……」
「私がAだよ」
三人の自己紹介に続いて私が名乗ると、アーサーは先ほどのことを思い出したのか再び申し訳なさそうな顔をした。
「……さっきは悪かったな」
「何言ってるの、全然気にしてないよ。アーサーのせいじゃないし」
私がそう言って笑うと、アーサーはほっとした顔になった。
そしてきょろきょろと部屋を見回して言う。
「なあ……キャシーはいないのか？」
突然出た知らない女の名前に私は笑顔のまま凍りついた。
＿＿＿＿私の名前は覚えていないのに……？
いやいやメンヘラかよ、落ち着け冷静になれ。
気持ちを整えるために深呼吸していたら、代わりにアルがアーサーに尋ねた。
「アーサー、自分が通ってた学校の名前、覚えてるかい？」
その問いかけにアーサーはきょとんとして、「W高校だった気がするが……」と答える。
……なるほど、これでわかった。
「私立ヘタリア学園だよ。W高校はアーサーの留学先の学校の名前だね」
「この四月からアーサーさんは留学していたんです」
「留学……」
アーサーは全ての記憶を無くしているわけじゃない。
直近の記憶があるということは、今は本当に記憶が混乱しているだけだ。きっとすぐに元に戻るだろう。
キャシーさんはおそらく留学先の友達なんだろうな。
(人見知りのアーサーに、私たち以外の友達か……)
いや私は彼女なんだけどね、と心の中で付け足す。
それでも唯一覚えていた名前に、理不尽ながら少々ジェラシーを感じてしまう。
「どんな子なんだろう……」
心の中で言ったつもりが、無意識に声に出していた。
アルたちは学校について話をしていて、幸いにもその呟きを聞いていたのはフランシスだけだった。
「なにA、気になるの？」
「えっ、いや……うん」
「まあ確かに、菊が持ってる少女漫画とかだとこんな状況で覚えてる女子と言ったら＿＿＿＿」
そこまで言ってフランシスは口を噤んだ。
……でも、私には言葉の続きがわかってしまった。
まずったな、という顔をしているフランシスに「私もそう思う」と苦笑を向ける。
「……A、お前」
「ん？……あれ、誰か来た感じしない？」
ぱたぱたと足音が近づいて来る。
と思ったら、病室のドアがガラッと開いた。
「アーサー！？」
そんな声とともに入って来たのは金髪碧眼の美人だった。
そして察した。
「キャシー！！」
＿＿＿＿ヒロインの登場だと、そう思った。
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留佳(プロフ) - milkteaさん» ありがとうございます！喜んでっっ (2015年10月25日 19時) (
レス) id: f95be04ee3 (このIDを非表示/違反報告)
milktea - とても素敵な小説だと思います！あの〜良ければお友だちになっていただけませんか？？ (2015年10月14日 15時) (レス) id: 10936bb74d (このIDを非表示/違反報告)
留佳(プロフ) - マリニさん» ありがとうございます！！！ 全然更新せずに申し訳ないです (´･ω･`) 今月中に1話は必ず更新します！ (2015年6月5日 20時) (レス) id: f169f8f483 (このIDを非表示/違反報告)
マリニ(プロフ) - この作品ホントに大好きです！更新楽しみにしてます！ (2015年6月3日 22時) (レス) id: c551b84f25 (このIDを非表示/違反報告)
朱雀(プロフ) - 留佳さん» うまく出来たかな？(レス遅くなってごめん！) (2013年5月30日 19時) (レス) id: 1f4d45d945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：留佳 | 作者ホームページ：
作成日時：2011年4月17日 18時
