まほうの【さとみ】

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いつも通り埃臭いこの部屋。

いつもと違うのは、埃が払われた奥のイスに

道村さんが座ってないこと。

「さとみくんっていつもここいるよねぇ」

「わたしも思ってました！何でですか？」

なんでだろうなぁ。

俺、なんでこの時間が好きだったんだろう。

1人になるためにここにいたのに。

道村さんのいない、俺だけのこの部屋は

寂しさだけが残るただの箱だった。

それ以上資料室にいる意味はなくて

自分のデスクに戻り仕事を始めた。

中「お〜〜〜〜〜〜い」

中「お前昼食わねぇの？」

さ「えっあぁ食べるよ」

中「って全然書類減ってねぇじゃん！」

考え事でなにも仕事が手につかなかった。

そしてそれは俺だけじゃなかったらしい。

課「道村くんがミスなんて珍しいね」

『すみません…気をつけます…』

中「へぇ道村さんってミスするんだ」

さ「そりゃするだろ人間だぞ」

中「あっそういえば昨日どやった？」

ニヤニヤしながら聞いてくる中田。

さ「なにが…」

中「なにってなぁ、俺せっかくセッティングしたんだから」

さ「別に何も無いよ」

中「はぁ？」

さ「お茶出して帰した」

中「いやいやありえね〜」

さ「俺は紳士なの」

中「どの口が言ってんだか」

本当にどの口が言ってんだろうな。

昨日、飲み物に惚れ薬を

混ぜたやつの発言とは思えない。

さ「はいはい、昼食うぞ」

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