Sでちょっとアレな女が悪魔になりました【魔入りました！入間くん】

第3話「（名前）とキリヲ」 ページ5

決して不正はしていない。だって、してはいけないってルールはないし。
しかし、男悪魔は逃げようとした。
「ふんっ！女ごときに俺の金を奪われてたまるかよぉ！」

なるほど。負けたら逃げる気だったから自信があったのか。
情けなっ。あと「女ごときに」ってなんだよ。コンチクショウ。

すると、男悪魔の体がガタッと動かなくなった。
そして、私の方に向き直り、財布を出すと、渡してきた。

男悪魔の顔には疑問しかなく、
「どうして俺はこんなことを！？」とでも言いたげだった。
しかし、相変わらず腕はブルブルと震えながら私に財布を渡そうとしている。

なるほど。これが私の家系魔術か。
私はさっと財布を受け取ってその場を去った。
後から暴力を受けたらひとたまりもない。


その後、私は家系魔術を使って戸籍と家を手に入れた。
十分生活できる環境が整った私は、
トリップしたら会いたいと思っていたキャラに、会いに行く事にした。
羽を使って飛ぶのも、もう慣れてきたし。


「あの……どなたさんでしょうか？」
そうやって玄関から私を覗くのは緑色の髪の子供。
そう。アミィ・キリヲだ。

といっても、まだ彼はとても幼い。
大体魔力の少なさを知られた直後くらいなのだろう。
不安そうな顔をしているが、同時に怯えたような雰囲気だった。

「ああ、私はあなたの親御さんに用があって来たの。呼んでくれる？」
「わ、わかりました。母様と父様呼んできます」

そう言うとキリヲは一つ結びにした女性を連れてきた。

「申し訳ありまへん。夫は留守で……て。
自分、どちらさんです？見覚えも聞き覚えもないんやけど？」
キリヲの母はそう言ってこちらを睨みつけた。

キリヲも、彼女の態度に私が知り合いでない事に気づいたようで、
さらに玄関に引っ込んでこちらをチラチラと怯えたように見てくる。

「いやあ、私は是非あなたと賭け事がしたいんです。
もし私が負けたら、私は『私の家系魔術』を差し上げましょう」
「は？
家系魔術て。そんなもんが渡せるわけあらへんでしょ」

彼女にとって価値のあるもの。金も名誉もあるだろうし。
私には私の家系魔術位しか思いつかなかった。

「いいえ、渡せるんですよ。それこそが私の家系魔術です。
賭けをした時、賭けを『絶対に』守らせる。
だから、物だろうが、人だろうが、概念だろうが賭けられますし、勝った方に必ず渡されます。
どうです？私とポーカー勝負してみませんか？」

私はトランプを取り出して目の前に掲げて見せた。

第4話「悪魔の息子」→←第2話「"家系魔術"使用！」

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