返還請求権【宮治】

2日目 ページ3

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「あ、侑」




放課後、
特に残る予定も無く帰ろうと下駄箱に向かうと
見慣れた片割れの姿が。






「おーA、久しぶりやん」


「なんか最近あんま見かけないなって思ってた」


「もうすぐテストあるやろ！今回こそほんまにやばいねん、業間休み返上して勉強しとる」


「やば、明日槍でも降るんじゃない？」


「んだとコラ」





流石にバレー部もテスト前は部活休みらしい。
にしても侑が勉強だなんて珍しいなと思いながら靴を出した。

でもまあ、こいつはテストでいつもやらかすから今回は崖っぷちに立たされているのかもしれない。





「あっ、んなことより俺お前に聞きたかったことあんねん」


「え？何」





ローファーを出しながら侑は続ける。






「お前、治のこと嫌いになったん？」





ぎくり、と胸が音を立てた気がする。
嫌いになってなんかいないけど、なぜか、気持ちを見透かされたような。






「嫌いだったら付き合ってないよ」

「せやけど最近治がうっさいねん。Aが冷たい、構ってくれへん、って。」






瓜二つな顔で言われるとこちらも罪悪感が募る。

嫌いになってない、むしろ治のことは好きだ。







だけど、









「うーん、治の気のせいじゃない？毎日連絡は取ってるし、私もバイトとかあって忙しいからさ」



「...ふぅん」





ならええけど、と呟いて侑は歩き始めた。

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