プールサイドの白鳥 (ページ47)

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Ryuto side

「ねぇ～もう～」

お昼休み
先生の応接間に転がりこんだ俺は今、絶賛先生から文句を言われているわけで

「絶対、あの先生アホだって思われてるじゃん～」

「思ってないですよ…俺は思ってるけど？」
そう笑いながら先生に購買の名物、焼きたてメロンパンを渡す

「え、これ、買えたの？」

するとさっきまでのふてくされた顔はどこへいったのか
目をキラキラさせて受け取る先生

「秘策があるんだ」
そう言う俺

でも、先生は受け取った後に、
「あ、いくらだった？」と財布を出しながら俺に聞く

「いらないですよ」

そう答えると

「生徒からおごられるわけにもいかないもん」

と引かない先生
こういう時は黙っておごられてればいいのに
でもこの人はそういうことができなさそうな人だなと思う

「んーじゃあ、今日のお詫びってことで、食べてください、お願いです」

そう言うと

「ずるい」といいながら
「ありがとう」と先生は笑った

「そういや、先生、明日も授業あるんでしたっけ？」

同じく俺もメロンパンを食べながら聞く

「あるよ、ってか、これほんとおおいしい！売り切れるのもわかる！」
そう先生は、メロンパンから目を離さないまま答える

そんなに夢中になってくれるの
そんなに嬉しそうにしてくれるの

そんなメロンパンに嫉妬しそうになる俺はきっとどうかしていて

「そか、明日は俺、レッスンだから受けられないです」
そう言った

「え、そうなの？」
やっとこっちを見た先生に「うん」と答える

「そかぁ～頑張ってね？」
そう俺に言う先生

「うん、先生も頑張ってるから
俺も、頑張ることにします」

そう答える

俺は先生の何なのか
先生にとって俺は何なのか

そんなことは分からないけれど
でも

部屋を出るとき

「今日の授業、ありがとう」

そう言う先生を見て思うのです

…ずるいのはどっちですか
って。

俺も

先生だから

先生だから

先生の

役に立ちたいと思うんだ。