9.もぐらの法則 ページ9
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今日もテレビ局の方にお邪魔する。
今日の撮影に使う衣装を田中さんと直接打ち合わせして決めるため。
ただ、今回は前みたいにハンガーラックはない。
必要な冊子と資料を持って、向かう先は撮影スタジオ。
スタッフさんが右往左往する中
入場許可のプレートを首から提げた私はマイペースに歩いてた。
上に向かうボタンを押して、エレベーターが来るのを待つ。
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すると、私の斜め後ろに誰かが並んで来たのが気配で分かって
チラッと振り向いたら
相手もたまたま同じことを同じタイミングでしたみたいで、不意に目が合う。
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「(うわっ…。)」
和也「あ。」
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偶然というか腐れ縁なのか
そこにいたのは二宮だった。
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「あ…。」
和也「この前の、倒した人。」
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一応芸能人だし、いろんな人に接触する仕事だろうし
てっきりもう私のことなんか覚えてないんじゃないかと心のどこかで思ってたけど
覚えてるんだ…。
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和也「今日はアレ持ってきてないの？衣装引っかかってるやつ。」
「持ってきてないです。」
和也「ていうか何してる人？衣装でしょ、あれ。」
「衣装協力のフレアドールの茂倉です。」
和也「何さん？」
私の名前を聞き返す二宮。
“
なんて一瞬考えたけど。
「吉田茂の茂に、倉庫の倉で…」
和也「…もぐら？(笑)」
聞き返されたから答えたのに、小バカにしたように笑う二宮。
「“もくら”です！！」
だから、つい声を荒げちゃって
「あっ…。」
気付いた頃にはもう遅かった。
たまたま近くにいた人たちからチラチラと白い目を向けられる。
ちょうどその時、待ってたエレベーターがやって来た。
傍ら、隣のこの人は腕で口を押さえて、ぶくくって笑いを堪えてる。
和也「なるほどね、基本ドジなんだなアナタ。」
「…っ！なによ、初対面なのに失礼ですね！」
和也「今はもう初対面じゃないんじゃない？理屈的に。」
「理屈じゃなくて屁理屈って言うんじゃないんですか？」
和也「ていうかフツー吉田茂で例えるかね？茂っていう字(笑)」
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開いたドアから中に入ると、二宮も一緒に入ってくる。
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目的の階を押してエレベーターが閉まったら
途端に妙な緊張が流れた。
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そういえばこの人、トップアイドルじゃん。
会えるだけでも奇跡の人じゃん。
凄い人なんじゃん、一応…。
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作者名：ハロ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/helloamnos/
作成日時：2013年10月22日 18時
