ＨＥＬＬＯ，Part1 (ページ6)

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6.茂倉の法則ページ6

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世間では華の金曜日なんて呼ばれてる今日。

グツグツ煮える土鍋の前で、私は箸を握っていた。

「いただきまーすっ。」

水炊きにはやっぱり味ぽんで。

畳部屋に敷いた座布団で足を崩して座りながら

土鍋の中から水菜と油揚げと白菜を摘まむ。

熱くてハフハフ言いながら食べてたら

「そんな急いで食べなくても、お鍋は逃げないわよ(笑)」

と、麦茶とコップをお盆に乗せてやって来たのは

熱い鍋にがっつく私を見て、真ん丸の頬をもっと膨らませて笑う

私の叔母に当たる人、みっちゃん。

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「お腹空いちゃって。」

み「家の冷蔵庫に何も入ってないんじゃねぇ。逆に何が入ってたの？」

「醤油とカマボコ。」

み「刺身カマボコができるじゃない。」

「ご飯がなかったんだもん。これじゃ夜ご飯になんない！」

み「次の給料日は？」

「明々後日。」

み「そうしたら、土日も食べに来るってことね。」

「お願いしまーす…(笑)」

み「まったく…困った子だわ(笑)」

家に帰ってきたら冷蔵庫に食べるものがなくて、仕事帰りに転がり込んで来たみっちゃんの家。

二人分の大きさの鍋を囲んで、みっちゃんも私の向かいに座る。

ヤケドした舌に冷たい麦茶がおいしい。

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み「…最近お墓参りは行ったの？」

「うん、先週の日曜日に一人で行ってきた。」

み「ごめんね…あの日はお店の方に行かなくちゃならなくて。」

「大丈夫！みっちゃんの分も私がお父さんとお母さんに挨拶してきたから。

“みっちゃんのご飯は相変わらずおいしいから餓死はしません”って(笑)」

み「なに言ってるんだか(笑)」

「ご飯は心配しなくていいって安心してもらえるじゃない。」

ははって笑いながら

ふと、タンスの上に置かれた写真立てに目をやる。

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み「もう20年経っちゃうのね…。あの事故から。」

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セピア色に染まったフレームの中。

小学校の入学式に校門の前で、ピカピカのランドセルを背負う私と

その両側に立つ

私の、お父さんとお母さん…。

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