桜散り行く頃�� ページ12
煉獄さんから言い渡された訓練から2日目の朝、気持ちを入れ替えた私は庭の桜の木の前に立ちそれを見上げていた。
ーーまだまだ桜は散らない。
昨日千寿郎君から巻いてもらった包帯だらけの掌に目を落とすと、千寿郎君の優しい笑顔と煉獄さんの真剣な表情で私の目を捉える顔が脳裏に浮かび、グッと拳を握る。
『いくぞ！！！』
風がそよぎ、桜の花弁が散るのを合図に私は地面を蹴った。
◆
槇寿郎side
「……ん。」
ムクリと布団から起き上がり、目を擦る。
ーーなんだ？
庭の方がやけに騒がしい、と襖を開けに寝起きの重い身体を起こして それを確認しに行く。それでも以前より、足に力が入るのは……？
ーーあの女中が挨拶に来てから、酒の量が半分以下に減った。
何故なのかは、あの女に瑠火の面影を感じ取ってしまったのがきっかけであることは間違いなく。
酒瓶を手に取る度に、この世にはいない妻の顔が浮かぶ日が続いていた。
ーー瑠火の瞳から光が消える寸前に己の泣き叫ぶ声が頭の中に木霊し、胸が張り裂けそうになる。
しかし、それもひと月ふた月もすれば段々とその症状は軽くなっていくと同時に…時間の流れがその思いを風化してしまうのかと寂しさも感じていた。
襖を開けて、庭に目をやると騒音を立てている人物が目に入った。
てっきり千寿郎だと思っていたため、その姿を見た時は目を見開いた。
ーーあの女中ではないか。
なぜ、お前が刀を手に取っている？
なぜ、そんなに必死にそれを振るう？
なぜ……
と、縁側へと足を向けてもう少しそれに近付いた。
ーーーなんだ？何を斬ろうとしているのだ？
すでに、その女の額は汗塗れでゼイゼイと息も上がり、それがこちらに聞えるまでに疲弊仕切っていた。
ーー女の前には庭に生えている桜の木があるだけで……
そして、そいつは再び何かを目掛けて刀を振るう。
ドシャ……
『ぅ……』
大きく空振りをして前方へと転び、稽古着も顔も土だらけとなっていた。そして、転んだ女のその周りには桜の花が舞っている。
ーーもしやその花弁を斬ろうとしているのか？
『くそー……』
と、倒れながら上体を上げて歯を食い縛り地面を叩いている姿に溜め息をついて縁側に出て下駄に足を通した。
槇「立て。」
『！！！！』
ーー思いもよらない人物から声をかけられギョッとした顔を上げる その女。
……全く似ていない。
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シレン(プロフ) - あ ま ね 。さん» あまねさんこんばんは！そう言って頂けて嬉しいです！その先もたくさん続きありますので楽しんで頂けたら嬉しいです！！また感想聞かせてください！ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - こんばんは！！めちゃくちゃ面白すぎます！更新楽しみにしてます (2020年12月2日 21時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - もけけさん» もけけさんｺﾒﾝﾄありがとうございます！このサイトは投票は１回まで？みたいです！それでも、毎回押してくれてる事に感謝です！！ありがとうございます！！どうぞまた来てくださいね！！感謝感激ｽ！！ (2020年11月12日 17時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - Isolaさん» Isolaさんコメントありがとうございます！私も映画で煉獄さん沼にハマった1人です！永遠に抜け出したくないですよねw温かく嬉しい言葉もらえて幸せです！！また、ぜひ、ここに来て幸せな夢に共には浸りましょうw (2020年11月9日 16時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - 裕美さん» 裕美さんこんにちは！嬉しすぎるコメントありがとうございます!!ドストライクhitできて感無量です！！これからもここで溶けてください！！ (2020年11月9日 16時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はてな | 作者ホームページ：http://lyze.jp/hellomalco/
作成日時：2020年11月2日 0時
