救世主�� ページ4
炎のような羽織を着た人が座り込んでいる私の前へと近付き、私の目線に合わせて膝を着いた。
無意識にボロボロと涙を流す私の顔を、手持ちの手拭いで優しく血ごと拭き取り出してくれた。
｢俺がもう少し早くここに到着していれば、君の家族は死なずに済んだ……。｣
ーーーああ、やっぱり死んじゃったのか……。
｢すまなかった……。｣
ーーー違う。なんで謝るの？助けてくれたのに。
と、言葉は出なかったがその人の目を見るとそれはそれは優しく、哀しく、私のことを慮っていることが痛いほど伝わってきた。
ある程度、顔についていた血を拭き取ってくれたのかその人は手拭いをしまった。
｢君の名はなんと言う？｣
『私の名はAと申します……』
｢そうか！Aというのだな！私の名は煉獄杏寿郎という！｣
『れんごく…さん…』
ーー私が彼の名を小さく呟くと、今日何度目かの｢うむ！｣と元気よく頷き、私の頭を撫でてくれた。
その優しい手に、心が洗われ先行きの見えない不安や恐怖が少し……いや、だいぶ軽くなってまたもや涙が溢れてきた。
｢A……。今は辛かろう。現実を受け止めきれないことも理解出来る。だが、ゆっくりとでも前に進むしかない。｣
煉獄さんの言葉を うん、うんと歯を食い縛り、胸に刻んだ。
その後煉獄さんは、私の家族を大切に埋葬してくれた。
埋葬する光景を少し離れたところから、ぼーっと抜け殻のように見つめていた。
ーーー家族が眠る墓に手をあわせるが、何を思えばいいのか、何を伝えればいいのか、今の私には出来なかった。
それを悟ってくれているのか、煉獄さんは｢心が落ち着いた時にまた来ればいい。｣と、肩に手を当ててくれた。
ーーー優しい人なんだな、と心が暖かくなった。
｢さて、Aはこれから何処か行く宛はあるのか？｣
『宛……ですか……。』
親戚や、親の兄弟などは無いからどこも宛はない。かといってこの場所で1人で暮らすなど到底できそうにもない。……どうしよう。着物も血だらけだし、家の中もめちゃくちゃで持っていた何着かの着物も全て全滅だ。
ーー困り果てていると、煉獄さんは腕組みをして私に向かい合った。
｢俺の屋敷に来るといい！｣
『煉獄さんの……？』
｢ちょうど先月から手伝いの者が辞めてしまって困っている！行く宛てが無いのであればの話だ！｣
ーーー断る理由はなかった。
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シレン(プロフ) - Lastさん» ご指摘ありがとうございます！いやいや、お恥ずかしい！！すぐ治します！！ (2020年11月1日 1時) (
レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - この作品いつも読んでます！！ただいま�，覇�輪刀が日輪等になってましたよ。これからも投稿頑張って下さい！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 7e2a5ee326 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - よるさん» コメントありがとうございます！くっつくまでの過程が大好物です！！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
よる - 焦ったい…大好物です！！！ (2020年10月31日 21時) (レス) id: 857d9d8983 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シレン | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16108143
作成日時：2020年10月26日 3時
