REAL _最初で最後の恋_ 2

2人の生活と忘れられない恋心 ページ2

優輝との生活は
それから割とすぐに始まったけど

ある日。

優輝は少しだけ戸惑ったモノを隠したみたいな顔で

『今度の三代目のコンサートいっしょに行かない？』

ふと。そう問いかけてきた


…急だな…って思わなかった訳じゃなかったけど

断り方も
優輝に対して断る"理由"も

何もない私は優輝とおんなじように戸惑ったモノを隠したみたいな顔で答えてた

…いーよ。行こ…


私はバカだから

ヨーコさんの最期のあの日
健二郎かそこにいたから

その影響で優輝は三代目のファンになったモノだと勝手に解釈していた


いつもハウスのみんなに

『優輝くんは三代目のNAOTOさんに似てるよね〜』 なんて言われる優輝だから

その流れも加勢してファンになったモノだと解釈していた


優輝の内側の気持ちなんか何も見えてなかった


それを知った三代目コンサート


"写真取らせてください" なんて無駄に声を掛けられながら歩く優輝は

コンサート途中


_これは帰り道の羽田空港で

梨香がヨーコさんにもらった手紙を読むためにお手洗いに行った時に

マサカズさんに聞いた話なんだけどね_


そんな前置きを於いて

『…単刀直入に聞くね…？…今でも健二郎さんの事…好き…？』

そっと問いかけてきた


…マズイ…って思った

でも。逃げ場なんて何処にも存在しなかった


遠く離れたステージの上の豆粒みたいな健二郎と
今。私のすぐ隣に立っている優輝


響く三代目の曲

眩しい程に燦めくライト


どうしようもないくらいに遠い健二郎と
今。生活を共にしている優輝に

私が返すべき返事は1つだけなハズ_


"私は優輝の事が好きだからいっしょに暮らしてるんだよ？"。その1つなハズ


…解ってたけど

返事出来ない私が存在した…


『あの日ね…俺マサカズさんに頼まれたんだよ…』

ぽつんと呟く優輝の言葉は

臣さんと隆二さんの歌声に掻き消されそうだったけど

_もし梨香がまだ健二郎に対して想いがあるなら一度でいいから素直にならせてやってくれへんか…って頼まれたんだ…。_


そう言った優輝の言葉はやけにハッキリと聴こえた…


"もう一度聞くよ？"



スクリーンに映る健二郎と
今。隣に立っている優輝の間に

_今も健二郎さんの事…好き…？‎_

真っ直ぐに問う優輝の言葉が響く



答え…られなかった

代わりに涙…溢れた

優輝はそんな私の涙に

東京から帰ってきた時と同じように"そっか"
そう言うだけだったけど

もう私は

優輝にすら何も隠せなくなってた

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