REAL _最初で最後の恋_ 2

2人で歩く先には ページ1

福岡にたどり着く前
私はぎゅっと、優輝の服の裾を握った

そうでもしてなきゃ
何処か遠いところまで飛んで行ってしまいそうで

私の心…,,,


優輝はぎゅっと握り締めて歩く私に

『いっしょに暮らす？』 そう問いかけたから


すごく悩んで
すごく迷って

それから私は答えを出した

…うん。……



そんな私の1言だけの返事に優輝は小さく何回か頷きながら

そっか。

そう言っただけだった


私と優輝とのキョリ_

福岡から東京に行く前と
東京から福岡に戻ってきた今と

なんだか少し
なんだか遠く離れた気がした


"あのね俺ね"


優輝が何か言いかけて

"ん。何？"

私は振り向いたけれど優輝はにっこり笑って

"何でもない" そう言ったから

私は敢えて優輝とおんなじように言った

"そっか"




ぎこちないとか
遠いとか

そういう感じではない…気がした



私は優輝の言いかけて止めたそれを

本当に"聞きたいのか"


なんにも…

本当。なんにも解らなかった



"喪失感"


そういうモノしか。
それ以外の他のモノはなんにも感じられなかった



無くしたモノ

ヨーコさん

そして…健二郎……


"あのね…"

今度は私から言って

"何？"

優輝は振り向いたけれど私も優輝といっしょ


…何でもない…そう言った


何を言いかけていたのか自分でも解らなかった

今
何を言おうとしていたのか自分で解らなかった


"あのね"


それから続いていく言葉は何だったんだろう

"あのね"


…その先を考えて出てきた言葉は

「…寂しいね…」 そんなたった1言だけだった


"寂しいね"

私の言葉に優輝もそう言って本当に寂しそうな顔で笑ってた


ねぇ。ヨーコさん

この時の

この感情にもし

名前を付けるとしたらなんて名前だったんだろう


喪失感…だけじゃ

足りない気がするんだよ

だとしたら "後悔"？

それもちょっとだけズレてる気がするんだ


＿『手…繋ごっか』

優輝の言葉に 「…うん」って

私はその手をギュッと握って歩いたけど

その道の

ううん。"この道" の先には何があるんだろう…って

私はね
ぼんやりとそんな事…思っていたんだ



優輝と歩く先

優輝と歩く未知には

何が待っているんだろう…って


このまま歩いていればヨーコさんが言ってたような

"最期までいっしょに居たいと思える人"

そんな名前の永遠に繋がるのかな…って。


頼りなくそんな事を考えていたんだよ…

それは

答えが "きっとそうだ" に
いつまでも辿り着かなかったから…だったんだね

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