俺の隣にはいつも… Season2

ズルイ奴としての決意 ページ10

(玲於Side)

臣さんと2人で夕飯食べて
それからいつも通り『また明日』 そう別れて


ずっと掛けようかどうか悩んでいた番号へ電話を掛ける




画面の名前は"哲也さん"



俺の兄貴の先輩で

こないだ俺を開業予定の美容室に美容師としてスカウトしてくれた人





♪♪♪



何回目かのコールが鳴って『玲於?…どうした？』短いけど優しい声が響いてくる





「…こんな時間にごめんなさい…あの…哲也さん…こないだ俺にしてくれた話って…まだ有効ですか…?」




ポツリと話すのは
まだ心の中には臣さんの笑顔があって


本当はまだ『3JSB』からも臣さんからも

……離れたくないから……





けど俺は

「…もしまだ有効だったら俺の事GENERATIONSで雇ってもらえませんか…?」小さく続ける





多分…哲也さんの事だから

"おかしい" って思ってると思うんだ



あんなに先延ばし先延ばしにしてた俺がこうして自分から連絡してんだもん



"おかしい" って思わない訳ないんだよ…




けど哲也さんは


『…本当にもういいの?…玲於がしたかった事はちゃんとやりきったの…?』

そうただ優しく問いかけてくれる声で

「…はい…」 って小さな嘘を付く俺を受け入れてくれる






_『そか…じゃあいつでもおいで…こっちはいつでも歓迎するから…』_


哲也さんの声に我慢していた涙がハラハラ溢れてしまうのは全部が全部



臣さんへの "サヨナラ" だって解ってるから…






ずっと好きだった臣さんのはにかんだ笑顔と

本当に大切だった場所『3JSB』






手を振る勇気はやっぱり持てないから

臣さんには何も云わず

いつか "また明日" ってそっと出ていくつもりでいるけど





臣さん



裏切っちゃう事しか出来ない俺の事キライになっちゃうんだろうな…



臣さんってそういう人だもん……






クールに見られがちだけど本当は

仲間の事.後輩の事.友達の事を大切にして

いつだって周りを信じてる人だもんね……





こんな裏切るみたいな去り方をしちゃう俺の事.きっと許してくれないだろうな…




けど俺は



ズルイ奴としてでも
イヤな奴としてでも

臣さんの心に残っていたいと思っちゃうんだよ






臣さんの廻りをめちゃくちゃに掻き乱して


何の責任も取れなくて


投げ出して逃げ出しちゃう俺の事


"嫌いでもいいから忘れないで" って




3JSBを出てくまでの1ヶ月
最後まで臣さんの事好きでいさせてって



……願っちゃうんだよ……

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