俺の隣にはいつも… Season2

叫び ページ8

(臣Side)

……ごめんなさい……⁉

それって

「……何なんだよそのごめんなさい…って」



俺は玲於を疑いたくなくて
やっぱ信じていたくて少し笑ってみせる


頼むよ


俺が思ってるような事を言わないで……





『……俺にとって…アイツは…岩田剛典は邪魔な存在だ…って……勘違いしていたんです……』



項垂れたまま玲於がポツリと言葉を紡ぐ


それはまるで叱られた子供みたいで

俺は何も言えずただ玲於を見つめてやることしか出来なくなる




『…俺……アイツの事好きになれなくて……アイツから自由を奪ってやりたくて…それで……』


「…それで…?」


俺が問いかけるのに



__『…俺…アイツの事…売ったんです』__

そんな言葉が不気味にスタジオ中に響いた気がした




売った…って……?

『俺の友達にアイツのファンがいて…俺アイツをある場所に呼び出して……そこにその友達を連れてって…写真撮ったんです……その写真を知り合いの記者に……』



ポツリポツリと話す玲於の声


"売ったんです"
"知り合いの記者に"

"好きになれなくて"……




玲於の言葉が頭の中に浮かんで消えなくて



ガシャンっっ‼


気付いたら俺は玲於を怒る代わり

テーブルを蹴り飛ばしてた…





「何やってんのお前…好きになれなくて？…キライだから…?そんな理由で知り合いん事…簡単に売っちゃえんの?……お前さ…それガンちゃんの事も俺の事も裏切ってるって解ってる?……ねぇ?ふざけてんの……?」


溢れてきてしまうのは玲於を気遣う優しさを失くしてしまった怒りしか込められない言葉…


悔しいんだよ

玲於が…いつも信じてた奴がそんな事したなんて…

悔し過ぎんだろ…⁉





『臣さんのせいじゃないですかｯｯ‼』＿



不意に玲於から出た悲痛に似た叫び


「なんで俺のせいなんだよっ」



多分…瞳にだって怒りが篭っていたんだと思う


『…ｯｯ……好きなんですよ俺…臣さんの事ｯｯ』

必死で絞り出そうとする玲於の声に


「……は?」


俺はそんな情けない言葉しか出てこなくなる




『…ずっと好きだったのに急に現れて…横取りされちゃって……悔しかったんですよｯｯ』


そう叫ぶ玲於は
今にも泣き出しそうなのを隠してる子供みたいだ




思考回路がまたショートしそう



何もかもぶち壊してきたばかりの俺にはその玲於の気持ちが解るから


けど

「…だからって…やり方間違ってんだろ……」


呟く言葉


それはそのまま俺の胸に返ってくる気がした

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