俺の隣にはいつも… Season2

整えられた舞台 ページ36

(剛典side)

久しぶりに来たLDHの扉を開くと

『いらっしゃい』

いつもの直人さんの穏やかな笑顔と

『久しぶり』 そう微笑む臣さんがいて

そこに…小さく俯く背中が1つ……



誰だろ…

俺がそう思うのとほぼ同じタイミング


『ほら玲於…?』

臣さんがその背中を励ますように叩いた




＿『…お久しぶりです……』＿


臣さんから促されて立ち上がるのは

…玲於さん…?



久しぶり過ぎて逆に珍しく感じてしまう





_『とりあえず座って?…ガンちゃんはレッドアイでいい?』＿


相変わらず優しい眼差しの直人さんと

『ほら玲於…』 玲於さんの背中を抱える臣さん



何…？

なんなんだろ…


いつもの感じとは違うって

それだけは解るんだけど

いまいち状況が掴めていない俺と俯いたままの玲於さん…




『ガンちゃんに玲於からどうしても話さなきゃいけない事があるんだ…な?玲於…そうだろ?』

助け舟を出すみたいにして臣さんが玲於さんを支えてる


それでも黙ったままの玲於さんは俺を少しだけ哀しい瞳で見てから


『…ごめんなさいｯｯ』 泣いちゃいそうな声で大きく頭を下げた



なっ//

何事ｯｯ⁉



「…ごめん…直人さん…俺今何が行われてんのかよく分かんない…」

それが今の俺の正直な気持ち


だけど直人さんはそんな俺に答えは出してくれなくてただ

『…ちょっとだけ待ってあげて』って言うだけだったから


俺はそれ以上なんにも言えなくなってしまう




それから5分…

いや10分くらい経った頃







『あの記事…俺が…ｯｯ……俺のせいなんですｯｯ』



ずっと黙ったままだった玲於さんが俺に頭を下げたままそう小さく叫ぶ



それは泣きそうな声

とても後悔を含んだ声



なにより玲於さん自身がとてもツラそうで痛そうで…




だから俺はゆっくり

できるだけ玲於さんを刺激しないように




「ごめん…やっぱよく分かんない……どういうコト…？」



そう小さく問い掛けるしか出来ない俺……





そんな俺の小さな問い掛けにポツリと床に拡がるのは涙の染み…


玲於さんが泣いてる…って事は解るけど


何が
どうなって

こんなコトになってるのか未だに解りきってない俺は


そんな玲於さんを励ましてあげられるような言葉を

何ひとつ見付けてあげられなかったんだ……

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