俺の隣にはいつも… Season2

零れ落ちてしまうモノ ページ31

(哲也side)

俺の腕をつかむ敬浩の力は力強くて

"いいから座って？"

そう促す瞳は今までのどれよりも強くて


…だからって訳じゃないけど

帰るに帰れなくなって俺は渋々カウンターの椅子に座り直す…


と同時に

『…確かめるような事してごめん…』 そう言う敬浩の声


…確かめるような事…？




『俺ね.もしかしたら哲也さんは玲於の事…ってずっと思ってたんだ…だから敢えて此処に来たし敢えてさっき臣の名前を出したんだ……』

そんな風に答えを出していくから

俺も

そう…直人さんもハッとしたように動きが止まってしまう



なんで

なんでわざわざそんな事…?


時として敬浩の行動は俺の理解の範疇を越えていて

まさに今だってそう…


今も敬浩の行動の意図が俺には解らない…


けど

先に答えを見付けた直人さんの

『…そっか…そうなんですね…』

そう穏やかに…嬉しそうに頷く声と笑顔…


何？

一体何なの…?

俺には未だに掴めない敬浩の意図に


＿『今でも臣はずっと玲於くんの事を気に掛けてるんです…玲於くんの事を傷付けて自分だけ幸せでいてもいいのか…って』_


直人さんが細く頼りない声で導いてくれる答えは

アイツが好きだった人からのアイツへの優しい想い…




心配してくれてるんだ…今でもアイツの事…


自分の幸せに浮かれるだけじゃなくて
ちゃんとアイツの事…気に掛けてくれてるんだ…



『だから俺も玲於くんの事…直接じゃなくても傷つけてるんじゃないか…って時々不安に思っちゃうんです…』

不意に繋がる直人さんの気持ち



そしてようやく知る "敬浩の意図"



そっか

敬浩は俺にそれを解らせたくて俺を止めてくれたんだ…


だから逆恨み甚だしいさっきの俺が浮き彫りになって

少し恥ずかしくなって

けどアイツの事をちゃんと考えてくれる2人の気持ちが素直に嬉しくて

「…ごめんなさい……」 素直に言葉が零れ出てくる



フハって微笑って『突然何謝ってんの』そう見逃してくれる敬浩の声


不意に "もう安心させてあげなきゃ" なんて気持ちが込み上げて俺は


「俺.玲於の事…好きです…アイツは俺の事まだ何とも思ってないけど…それでも俺アイツをどんなカタチでも守ってみせます…だから…もうアイツの事は心配しないでください…」 そう言葉にする


"もう心配しないで幸せになってください…"



そう言う俺を穏やかに敬浩が見守ってくれるから俺は心ん中…

ほらな俺もまだガキだろ…？

自嘲するみたいに苦く微笑った

上司でもオーナーでもなく→←抑制出来ない想い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す