俺の隣にはいつも… Season2

抑制出来ない想い ページ30

(哲也side)

敬浩に久々に逢ったのは祭りの夜から何日かが過ぎた美容師業界合同会議の日だった


『あれ？哲也さん…?』

先に気付いてくれたのは敬浩の方で
俺はなんとなく少しだけ懐かしい気持ちがした


敬浩は専学ん頃からの仲間

友達と呼ぶには年も離れてたしあまり絡むコトもなかったけど

それでもこうして気付いてくれたのは素直に嬉しく思える



それから敬浩は会議の時も俺の隣に席を獲って

そして帰り道

『久々にどう？』なんて酒を呑むジェスチャーをしてみせた



敬浩と酒を呑むのは…本当に久し振りだな


こいつは美容師としての知識もすごく豊富で話してると色々学べるし…なにより楽しいから…

「いいね」俺はその提案を即決で受け入れる



そして敬浩に連れてきてもらった店 "LDH"


あまりにお洒落な店で俺は
「さすが…いい店知ってんね〜」なんて素直に驚いてしまう


_『あれ？敬浩さん…お久しぶりです！』_


オーナーかな…?

優しい瞳の子が嬉しそうに敬浩に挨拶する


敬浩はそんなオーナーに『お久しぶりです』そう挨拶してから『臣とは上手くやってますか？』 なんて言葉を続けるから

俺はすぐにこの人が玲於の想い人だった臣さんの恋人なんだ…って解ってしまう



そっか…

玲於が勝てなかったのはこの人なのか…


だとしたら多分.玲於も此処には来たコトが…


だってアイツ言ってたから…

"直人さんってホントに素敵な人で…だから俺.負けても仕方ないんですよ…" って


そんなセリフ
直人さん自身を知らなきゃ言えないセリフだろ…?



そう思う俺の心が視えたのか直人さんが問い掛ける

"玲於くんは元気ですか？"



悪気がある訳じゃないって解ってる
純粋に気に掛けてくれてるんだって事も


けど

カァってなっちゃうのは酒のせいって思わせて?


"アイツも臣さんの事が…"

そんな言葉はセーブするから…



…誰も悪くないんだ…

いつだって "恋愛" はそんなもんだろ


誰かが幸せになる反面
誰かが涙する…なんて事も少なくないって解ってる


けど

祭りの日に見た玲於の泣き顔が頭ん中でパチパチ音を立てながらフラッシュバックしてくるから

「敬浩ごめん…俺.用事思い出したから悪いけど先に帰る…敬浩はゆっくり呑んで?…マスター?ここの会計全部GENERATIONSに請求出してもらえます？」 俺はそうマスターに問い掛ける


早く出なきゃマズイって思った

言葉も気持ちも抑えらんないって思った

けど

そんな俺を止めたのは敬浩だった……

零れ落ちてしまうモノ→←キミが泣くから

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す