俺の隣にはいつも… Season2

掻き消した言葉 ページ27

(玲於side)

花火大会の日
ジェネの仲間と祭りに出てた俺が見てしまったモノは

懐かしい臣さんの横顔とその隣を歩く直人さんの笑顔…。


俺はすぐに "あぁ2人は付き合ってるんだな" って解って

良かったって気持ちと共に失恋の痛みを知った




「…ごめん俺先に帰るよ…」


そこに居れなかった俺は多分.正直な俺……



いいなって思っちゃったんだ

直人さんが羨ましい…って思っちゃったんだ


俺が欲しくて欲しくて
たまらなかった臣さんのあんな笑顔



直人さんは手に入れたんだって思ったらさ

めちゃくちゃ哀しくなっちゃったんだ…



多分それが本当の俺の気持ち…



経験積んだらまた告るつもりでいたから

そのために毎日頑張ってたから

そしたらまた臣さんと並べるつもりでいたから



ボロボロと溢れて止まない涙

…今のうちに全部流してしまおう…




ドドーンドドーンっっ


拡がる花火の音で俺の涙の音なんか誰も聴いてないから

今は…

「ぅわぁぁーっっ」想いを全部吐き出してしまおう



めちゃくちゃ好きだったんだ

本当に好きだったんだ

誰よりもいちばん好きだったんだ




初めて本気で好きになった人は

…届かない恋を教えてくれた人……




今はまだ幸せを願ってあげられないから

好きだって想いの分泣いてしまおう


それは全部…忘れるため…

…そしていつかまた笑うため…





_『せっかく祭りに来てんのに花火見ないの…？』_



不意に背中から声が聴こえて俺は慌てて振り返る

其処にある困ったように笑う哲也さんの笑顔…



いつから居たんだろう…

もしかして泣いてたの全部…見られてた⁉


急に恥ずかしくなって

でもそれでもボロボロ涙が零れ出てきて


俺はもういっそ子供のように泣いてしまおうって…何故かそう思ったんだ…


不思議だけど


哲也さんならそんな俺を見守ってくれるって
そう思えたから…



失恋して泣いてる子供みたいな俺と

それを見守ってくれる哲也さんの大人な笑顔


…誰にも見られたくない景色…




『…花火終わっちゃうよ…?』

哲也さんはそう問い掛けてくれるけど

「花火なんてもうどうでもいいんです…」

俺はそんな事しか言えなくて

「今.花火見てるのは切な過ぎるんです」って後付けみたいに呟く



綺麗すぎて目に滲みちゃうんだよ…



『…じゃあ俺も…切な過ぎるから見たくなかったのかな…』

小さく哲也さんが呟く言葉は


ドドーンっ

そう花火の音が掻き消して俺の耳には届かなかったんだ

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