俺の隣にはいつも… Season2

…逢いたい… ページ21

(健二郎side)

ドドーンドドーン…

お。始まった…

そう思うと同時に鳴り出す携帯の着信音


相手はそやな。見んくても分かんのは

俺も掛かってこうへんかったら掛けよて思うてたからかな…




「もしもし」

そう出ると同時に聴こえてくる鼻を啜る音

あは…泣いとんのか



相手…そう剛典が泣いとる理由はちゃんと解ってる

それは俺等がずっと逢えてへんから…




『…花火…始まったなって思ったら俺…どうしても健二郎さんの声…聴きたくなっちゃってｯｯ』

鼻をズビズビ云わせて

ホンマさっきまでTVで見せてた悪戯な笑顔とは裏腹やなぁ…(笑)



『そしたら逢いたいって思ってんのは俺だけなのかな…って思っちゃって…』


泣きながらそんな事を問い掛けてくるのは

多分俺がまだ素直になれてへんせいや



まだ好きやて言うてやれてへんし…
不安になってもしゃあないよな…

まだ剛典ん中、俺は直人さんを好きなままやろうしな…


そう思ってたら

「そんな事ない…俺も…逢いたい思うてた……」

そんな素直な言葉が素直に零れ出てくる



もう少し素直になれる力があれば言うてやれるかも知れへんのに

"迎えに行くから待っといて…" て

けどまだ俺には勇気が今ひとつ持てへんまま



"ラーメン屋と芸能人"


それだけでもアンバランスやのに更に俺等は男と男…


俺が剛典を迎えに行く事はそう難しい事やとは思ってへん


けど

もしそうしてもうたら後々の剛典への周りからの視線は厳しいもんになってまうことが安易に想像ついてしまうから

その覚悟を俺はなかなか付けれずにおる




好きや…俺がそう云うたら剛典はきっと "じゃあ逢いに来てよ" て言うやろ…?

俺が逢いに行ったら剛典は "離れたくない" そう言うやろ…?


今の俺にはそれが怖いねん…




逢いに行きたい

離れたくないのは俺も…同じやから……



けど

逢いに行った先に

離れない先にあるのは多分

剛典を傷つける周りからの視線……




俺は無理や

剛典にそんな想いをさせる勇気を持てへん




『…健二郎さん…逢いたい……』


震えながら伝えてくれる剛典の声に俺は「…ごめんな…」としか言えなくなってしまう



ごめんな

何もかも奪ったる勇気を持てへんくて……


多分剛典は俺から

何もかもを奪って欲しくて待ってくれとんのにな……



けどホンマのコト云うてしまえたら

俺も剛典に…逢いたい……


逢って言うたりたいよ



俺が今好きなのは直人さんと違う
お前が好きや…て

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