俺の隣にはいつも… Season2

恋と名付けた気持ち ページ17

(直人side)

『……え?』

俺の言葉に戸惑いが隠せなくなってる臣さんの瞳


そりゃそうだよね
俺だって正直に言っちゃうと戸惑ってるもん



でもそれは自然と零れ落ちてしまった言葉


考えるより先に
動くより先に

口を割って零れ落ちてしまった言葉



"俺も逢いたかったです"



言ってしまったとか

後悔とか

そういうのをちっとも感じないのは

気付かないうちに本当にそう思っていたのかもね





あれから…

臣さんとあんな事があった後から

良くも悪くも頭の中はずっと臣さんの事ばっかだった



健二郎の事を忘れられたのか?…って聞かれてしまえばそれは多分『今もまだ…』としか答えられないけど

健二郎を忘れられない痛みと同じくらい

もう臣さんに逢えないのかな…って思う気持ちは存在していて


なんとなく

なんとなくだけどね

いつか今日みたいな日が来たら俺は何て答えるんだろう…って

なんて答えるのが正解なんだろうって考えてた




その答えが『俺も逢いたかった』 なら

それが今.俺が出したい答えなんだって思うんだ





『多分…俺.今日が来るのを待ってたんです…』


そっと呟く俺の言葉に不思議そうな臣さん



_今日_

それは臣さんが俺に逢いに来てくれた日……





『なんかよく分かんないけど…俺…自分の都合のいいように捉えちゃいますよ…?』


少しだけ困ったみたいに笑う臣さんの瞳はとても澄んで


色々と考えさせちゃったんだろうな…とか

色々と悩ませちゃったんだろうな…とか思うんだけど



でも

それでも逢いに来てくれたんだな…って思ったら不謹慎かも知れないけど

……嬉しいって素直に思えて




「…正直俺も自分の気持ちがまだよく分かんないんです…けど…臣さんの都合のいいように捉えてください…」

俺なりの精一杯でそっと答える




ホントによく分かんないんだ


この気持ちは"恋" って呼んでいいものなのかそれともまだ "違う" のか



解らないのはきっと

今までの俺には "健二郎だけ" だったから…


健二郎に対する想い以外に "恋" なんて名付けた事がなかったから…




でも

臣さんとなら名付けてもいい気がしてる

逢えなくて寂しかったのも

逢いたいなって思った気持ちも嘘じゃないから…




『…抱きしめていいですか…?』

引く囁く臣さんの声に俺は小さく頷く



そして包まれる広い胸の中




あの日とは違う暖かさと優しさに俺は

…やっぱ俺も好きなのかな…

なんて曖昧だけどそんな風に思えたんだ

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