俺の隣にはいつも… Season2

告白 ページ16

(臣side)

直人さんに逢いに行く決心が固まったのは

梅雨も開けて
毒々しいくらいの暑さが体に纏わりつく夏の盛り


祭りを1週間後に控えた日だった



そのきっかけをくれたのは隆二の


『今年の祭りには俺等が組み立てる飾り櫓が並ぶ事になったから臣も見に来てよ……直人さんとさ』

そんなイタズラな笑顔





祭り前後の1週間。

境内に飾られる飾り櫓はこの界隈だけじゃなくて全国的に有名で

県外からわざわざ見るために足を運ぶ人もいるぐらいなんだけど



そういやさっき

そんな櫓を最年少主任として任されたんだって嬉しそうに言ってたっけ…




「…それを口実に祭りに誘えって…?」


俺がそう問いかけると

『櫓の前でもっかい告っちゃえよ…上手く行くよう願掛けしといてやるから』

なんてイタズラな笑顔で言ってくれるから


俺は "祭りか" なんてその気になっちゃって





そして今日、櫓が初御目見えになった夜。

…俺はLDHへ足を運んでいる…





さっき境内を通って来たけど

本当 "豪華絢爛" そのもので



改めて直人さんにも見せたいって


いや。

一緒に見たい…って思った






何もかも終わりにしようって

何もかもぶち壊して

乱暴に奪いあげた俺の事を

直人さんが許してくれるのか分かんないけど



「…動くしかない…」


隆二が言ってくれた言葉を武器にそっとLDHの扉を開く






＿『いらっしゃ…』＿


俺の事を見て直人さんが言葉を失くすのに




やっぱダメなんだな


やっぱ許してもらえねぇんだな


そんな考えが一気に押し寄せて俺も動きを失くしてしまう





カウンターまでの距離がやたら遠く感じるから "帰んなきゃ" って解ってるのに


思う様に動けなくて



眼を逸らそうとしても
引き寄せられるように視線を奪われてしまう




…やっぱ無理だ

どう足掻いたって俺.直人さんが好きだわ……




言葉を失くしてる直人さんの気持ちは

俺を拒んでるんだって伝わってくるけど




お願い

最後にケリ付けさせて……



……もう2度と困らせないから……






「…許してもらえない事は解ってます…けど…やっぱ俺.貴方のことが忘れられなかったんです…」


…逢いたくて仕方なかったんです……







ドアの外を見つめて呟く告白の言葉


静まり返る店内





…やれるだけの事はやったよな…?


そう自分に問い掛けた時だったんだ





『…俺も…逢いたかったです……』



…直人さんがそう戸惑い俯きながら呟いたのは……

恋と名付けた気持ち→←正解とか間違いとか答えとか…

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