俺の隣にはいつも… Season2

慣れとケジメ ページ12

(臣side)

俺にとって玲於を呼ぶことはホント

"癖"でも"慣れ"でもあったコトは

玲於がこの店から去って何日目かには痛いくらいに思い知らされてた



例えばシャンプーのお客様へタオルを取る時

例えばカラー剤をチェックする時


『玲於‼』




何度そう呼んで何度


"そっか…此処にはもうアイツいないんだ"


そう思ったか数えきれない…






アイツが此処にいないのは俺のせいなのかも知れないけど


アイツが此処にいないのは俺にとって

正直云ってすげぇ困るし


そして

更に正直に云えば

…寂しいって思ってる俺が居る……




『玲於』

そう呼ぶ度に敬浩さんが心配そうに見てくるから微笑って誤魔化すしか出来ないけど


アイツはずっと此処に居るモンだって思ってたから

ずっと俺の近い場所で笑って働いてるもんだって思ってたから




アイツがいない日々にはなかなか慣れれない






ガンちゃんの事だって俺が玲於に勘違いさせてたんだから

多分どこかでは俺のせいなんだよな……


なのに俺.玲於の事…何も考えずにただ俺の気持ちとかガンちゃんの想いだけ押し付けてさ


アイツには最後まで何もしてやれなかった…




…結局.俺は玲於の事を信じてやれてなかったんだよな…



そう思う気持ちと反面

"逢いてぇな" なんて

どこまでも自分勝手な想いが溢れてきてしまう




逢ったってまた傷付けるだけだってのは

敬浩さんだけじゃなくて俺だって解ってる…

言い聞かされなくってもちゃんと解ってるよ…



けどさ


ゴメンって

ありがとうって


出来れば "帰ってきてよ" って……



そう言うのはやっぱ許されないことなのかな……




玲於と同じに気持ちにはなってやれないくせに

玲於の想いに応えてやれないくせに


俺にはやっぱアイツが必要なんだ…なんて思うのは

…身勝手な事でしかねぇのかな…





はぁ( ´Д｀)=3



向こうで小さく溜息を付く敬浩さんが

少しだけ悩んだような顔をして

けど少し困ったように微笑ってから





『アイツはGENERATIONSっていう美容室にいるよ…そこのオーナー.俺の専学からの友達だから玲於の事はいつかこういう日が来るかも…って前もって言ってある……』 って小さく呟く



突然過ぎて不思議に振り向く俺に敬浩さんは


『お前.玲於に云いたい事とかしてやりたい事で頭の中パンパンなんだろ?…だったらそれにケジメ付けて来いよ…』 って笑いながら



『その後の事はアイツ次第だろ…？』って背中を押してくれた

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