俺の隣にはいつも… Season2

溢れる涙 ページ2

(剛典Side)

しばらく健二郎さんの腕の中にいた直人さんが
健二郎さんから離れて俺を呼びに来たのは

俺が2人から隠れて多分30分くらいは経っていたかな…



『ガンちゃんもういいよ 出ておいで』



そう小さく手招きしてくれる直人さんの笑顔



それは夜目にも清々しく映って



だから俺は『あぁもう2人は元に戻ったんだな』って思ったんだ




直人さんは健二郎さんの元に

そして健二郎さんは直人さんの元に



それぞれ居るべき場所に返ったんだなって思ったんだ





すべり台の陰に隠れて

自分の中の健二郎さんの大きさに思い知らされてやっぱ泣いちゃったけど



けど

それでも直人さんになら…って思ったから


他の誰でもない直人さんにならって思えたから




だから心からの思いを込めて

「おめでと」 って2人に向けて笑いかける






『振られてもうたわ』



不意に健二郎さんが苦く
でも照れくさそうないつもの笑顔で笑う



……え？どうして……??



だって直人さんも健二郎さんの事…



「直人さんｯｯ?」


俺は頭の中で繋がるイコールが確定しない様に慌てて直人さんの事を見つめるけど


『うん…そういう事に決めたんだ』


直人さんの口はそう動いただけだったから






ポロ…っっ



我慢していた涙が容赦なく溢れてしまう




ダメだっっ

泣いちゃダメだっっ//



だって俺が泣いていい場面じゃないじゃんｯｯ






健二郎さんが直人さんに振られちゃったのも
直人さんが健二郎さんにそんな答えを出すのも


全部

俺のせいで

…俺のためだって分かるから…ｯｯ





『泣かなくていいんだよ』

そっと直人さんが微笑みかけてくれるから更に涙が瞳に膨らんでしまう




「ごめ…ｯｯ」



言うべき言葉があるのに


ちっとも言葉になってくれない





それは




今更だけど

"おんなじ人を好きになっちゃってゴメン"






子供の頃からずっとだけど

"いつも直人さんの大切なモノ取り上げてゴメン"




そして

"いつも我慢しながら譲ってくれてゴメン"



……ありがとう……





_『ほらほら泣かないの』 __



子供の頃からおんなじ様に頭を撫でてくれる優しい手のひら




「…直人さ……ｯｯ」


どうにもこうにも溢れて止んでくれない素直な涙






ずっと怖かった

ずっと苦しかった

ずっと健二郎さんが遠くて

取られてしまいそうで本当に怖かっただけなんだ




でも今は…解るよ


そんな想いをさせていたのは "俺も同じ" だったんだよね…

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