俺の隣にはいつも… Season2

最後に1度だけ… ページ1

(直人Side)

息を切らしながら健二郎が公園に来たのは
それからすぐだった

『直人さんｯｯ‼?』


本気で心配してくれてる視線は
いったん俺から離れてガンちゃんの存在を探し始める





「…ガンちゃんが呼んでくれたんだ……」

俺はそっと俺達から少し離れたところにあるすべり台に瞳を滑らせる



あの影の向こうにいるガンちゃんは
今どんな気持ちで待ってるんだろう……



此処からは遠く影になってなんにも見えないけど多分また1人で傷付いてるよね…



『最初から好きじゃなかったから』って言ってたけどそんなの嘘に決まってる



確かに仕事のせいなのか子供の頃より誤魔化すの上手になったけど

あんな声聴いたら俺じゃなくても分かるって(笑)







「…ガンちゃんは俺に健二郎のコトを返そう…って言ってくれたけど俺は……健二郎にガンちゃんを撰んで欲しいって思うんだ…」



俺のまっすぐな言葉に健二郎がそっと息を呑んだのが解る






「……本当の事を言っちゃうと俺もまだ健二郎の事好きだよ……」




そう素直に口にするのは単純に俺自身のため




でもそれと同じくらい健二郎とガンちゃんのため……だと思ってる



今は…


今だけは素直に自分の想いを伝えなきゃ




健二郎も
ガンちゃんも

……俺だって……




きっと望むように前に進めないから…






『…俺もまだ直人さんの事…』


健二郎がそっと言葉を創ろうとしてくれるけど俺は



「…知ってるよ…でも……俺はもうその想いを受け取れない……俺.健二郎の事もめちゃくちゃ好きだけど…ガンちゃんの事もやっぱ好きなんだ…」

そう言って言葉を遮る





でも…


でもさ……



「最後に１度だけ…抱き締めて……」




涙声で伝える気持ちも

ズルいかも知れないけどホントの気持ちなんだ…





抱き締めて
抱き締められて

お互い同じモノ持ってるって確認し合って


それでも離れるって決めた


…今度こそちゃんと手放すって決めたんだ……








_『…直人さん最後までズルいっすわ』 __


寂しく笑いながらもそっと抱き締めてくれる健二郎の力強い腕



『……好きや…』「…うん…」



呟きながら抱き締めてくれる腕が微かに震えるのは

涙を隠してる俺ときっと "同じ" だ






「…健二郎…ガンちゃんの事.よろしくね…」


健二郎の腕の中小さく呟く俺に健二郎は何も云わなかったけど


背中に廻した腕にそっと力を込めてくれたのは


頷いてくれる代わりなんだって信じてるよ……

溢れる涙→

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