春夏秋冬 / _それぞれの恋_

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_また来たらええよ

そんな山下さんの言葉が嬉しくて
でも。少しだけ照れくさくもあって

「…また京都の街を写真に収めにきます」
そう答えた言葉は精一杯の約束_

だって
写真なんか本当になんにも撮れないくらい
毎日はお狐様…

いや。
山下さんのためだけにあったから…

_『俺も四季ちゃんの街に遊び…行ってもええかな…』

少しだけ照れくさそうに
やんちゃな笑顔で問いかける山下さんに

私の答えなんか本当にたった1つだけ

"もちろんです！その時は私が案内します！…だから…待ってます……"

そう言った後に気がついた、

これって私の気持ちなんかバレバレじゃない?…って

だけど

気がついたから躊躇する事なく言えた

「…私…健二郎さんの事…好き…です……」


『…うん。』

うん。しか言ってもらえなかったけれど
"後悔" なんて本当になんにもない…。

…最後に言えて…良かった…

…上手くなんかいかなくってもそれで……

そう思おうとした
そう割り切ろうとした

_その時＿

こーーーん

狐…が鳴いたような
お寺の鐘の音が響いてきて

「今、お狐様が鳴きましたよね」
泣き出しそうな心をぐっと抑えて笑った私を

健二郎さんは
ぐい…って引っ張って…抱き締めてくれたから…

私は息が止まってしまいそうなくらいドキドキした

「…また、逢えますか…?」小さく問いかける私と
『…今…四季さんも聴いたやろ？お狐様の鳴き声…』 そう微笑んで呟いてくれる健二郎さんの声

そして私達は
京都の夕日の中で2つの影を重ねた



『また遊び…ちゃうな…俺に会いに来てや……』
「…はい…会いにきます…」
『……待ってるわ…』
「でも健二郎さんも私に会いに来てください」
『…ん…解った…』


＿てんてん手鞠のいろはもみじ

八坂の神さんかくれんぼ
むっつ数えてうしろの正面だーれ ＿＿＿


もしかしたら
さっき健二郎さんが呼びかけてくれる前

角を曲がって姿を消したのは

_ホンモノのお狐様…だったのかも知れない_


そして

それから半月後_

京の都を背景に写した健二郎の写真には
『愛しい人_古都_』

そんなタイトルを銘じて古典のメインスペースに展示したのは

今の所はまだ健二郎にはナイショ…のお話です！

秋_fall_ ♡fin♡

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