7日目ー昼ー ページ24
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「キ....キヨ....」
震えた声で目の前のそいつの名前を呼ぶ。
ふと、その背後から警察官が見えた。
....ま、まずい!
誰もが声を掛けられる、そう思った瞬間だった。
「君たちどうしたんだ、「会議スタート!!」....」
体育館内に大声が響いた。
その少し高めな特徴的な声........P-Pだ。
声を遮られた警官はピタリと動きが止まった。
会議が始まったのだ、P-Pは静かに語り始めた。
....キヨが人狼ということを前提に。
「....キヨさん....いや、人狼の行動を一から遡ってみよう。
まず初日、キヨさんは遅刻してきた。
そして1日目の夜、【市民は怪しい人に投票する】というルールを追加したのもキヨさんだった。この時点ではまだ人狼ゲームを信じていないとはいえ、明らかに市民側に不利なルールだ。
うって変わって後半は潜伏していると見える。
そして、僕、レトさん、つわはすさん、A、キヨさんでCOし合ったとき........キヨさんに送られていたメールの送信時間が遅かった....それが、何よりの証拠」
P-Pの推測には、説得力があった。
それはもう予想とは思えないくらいに。
けれど、まだキヨは何も言っていない。
キヨは、まだ、
「........」
キヨは、ゆっくり口を開く。
.
「ーーーー そうさ、俺が人狼だ。」
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やけに鮮明に、聞こえた。
聞きたかった、聞きたくなかった。
....人狼
「い....嫌だよ」
「そ、そうだ、キヨくんが人狼な訳ない!きっと誰かを庇って........」
クラスメイトは口々に反論する。
それも当然なことなのかもしれない、今までずっと信じていたんだから。
....しかし、キヨは自虐的な笑みを浮かべた。
そして、おもむろに自分自身のスマートフォンを取り出しある画面を見せる。
『あなたの役職は【人狼】です』
....全員が、息を飲んだ。
「俺は元からこういう奴だったんだ、人狼ゲームが始まる前から」
ーーーー....
レトルトは黙って涙が零して崩れ落ちた。
つわはすは無言で震えていた。
P-Pは静かに俯いた。
キヨは、人狼だった。
私はどうすることも出来ない無力さを嘆いた。
人狼は、キヨだった。
その事実を受け止められない私がいた。
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loss - 途中でヒロインの苗字が黒瀬から黒崎になっていた事が気になりました。それ以外は考えられていてとても面白かったです。 (2016年11月28日 22時) (レス) id: 7b543e43b5 (このIDを非表示/違反報告)
毒舌#珈琲 - 最後凄い感動して泣きかけてしまいました…!文才ありすぎて羨ましいです!いい小説をありがとうございます! (2016年4月6日 16時) (レス) id: cd366d9e79 (このIDを非表示/違反報告)
桂碼(プロフ) - すごく感動しました。楽しませていただきありがとうございます(*´∇`*) (2016年4月4日 16時) (レス) id: ccc617bd03 (このIDを非表示/違反報告)
あらん - すごく感動しました...T^T (2016年4月1日 3時) (レス) id: 0334f1c679 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 最後泣けました…。この作品良かったです。 (2016年2月22日 1時) (レス) id: 67986d2bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零紅、ミネラリン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kaho01171/
作成日時:2015年3月30日 23時